いまやさまざまなデジタル市場で、法を守っていては他社に後れを取るという動機が事態を悪化させている。空き部屋を仲介するAirbnb(エアビーアンドビー)のライバル会社が、もしも土地区画規制や建築規制に抵触する宿泊施設を登録から外すとしよう。するとAirbnbの登録数には足元にも及ばず、とうてい成功は見込めない(Airbnbは世界各地で営業法や土地区画法の違反を問われている)。またeコマース企業は消費者から売上税を徴収していたが、アマゾンは10年以上売上税を徴収せず、ライバル企業は割りを食うことになった。

 では、タクシー配車サービスのヘイローはどうだろうか。保険や免許などの諸条件を満たした、正規のタクシーだけを扱う同社は評価に値する。理論上ではヘイローはあらゆる面で優位と思われた。大物投資家たちから1億ドル近い資金提供を受け、英国では確固たる実績があり、そして――そう、法律を完全に遵守している。しかし市場で競争するには弱い。営業免許なしで稼働するUberXのコスト優位を前に、2014年10月、ヘイローは米国市場から撤退した。

 新興テクノロジー企業の一団を、法をないがしろにする悪者として片づけるのは簡単だ。彼らの戦術には、手段を選ばないところがあるのは確かだ。しかしどの会社も、「自分たちがやらなくても他社がやる」と知っているからそうする。私たちがテクノロジー企業に対して、「まずはローンチさせてみよう。その是非を問うのは後でよい」という態度で臨むならば、違法行為を助長することになる。

 無用な、あるいは時代遅れの規制に悩まされている業界もあるだろう。ならば民主的で適正なプロセスに従って規制を撤廃すればよい。わずか数社だからといって違法を見逃せば、それは実質的に、法を遵守している企業を罰し、自由奔放な企業を儲けさせることになる。これは明らかに、消費者が求めているビジネスモデルではないはずだ。


HBR.ORG原文:Digital Business Models Should Have to Follow the Law, Too January 6, 2015

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ベンジャミン・エデルマン(Benjamin Edelman)
ハーバード・ビジネススクール准教授