RFIDでの成功要因

●さまざまなプレーヤーとの連携
 RFIDとEPCGlobal規格の実現は、学術研究者、小売企業と消費財メーカーの幹部、そして最終的には国際標準化を推進する機関GS1も加わった、連携の成果だった。研究者たちは標準規格の代替案と技術導入のアプローチをさまざまに提案し、スポンサー企業は各社の事情を踏まえながらそれらの成否について素早くフィードバックした。この種のコラボレーションはRFIDのように広範な技術には不可欠であり、はるかに包括的なIoTにおいてはいっそう重要となる。

●牽引役はユーザー企業
 RFIDに取り組む標準化グループは他にもあったが、我々Auto-ID/GS1/EPCの連合はベンダーではなくユーザー企業が中心となって牽引し、群を抜いて優勢だった。残念ながら現在のIoTはあまりに多くの標準化グループが存在し、しかもその大半でベンダー企業が過度に中心的な役割を担っているように思われる。

●大きな影響力を持つプレーヤーの存在
 RFIDの標準化には強大な影響力を持つ組織が複数関与した。たとえば世界最大の小売企業ウォルマートは、初期段階から積極的に参加した。消費財メーカーではプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)が主導的立場を担った。さらにアメリカ国防総省までが、軍事サプライチェーンへの適用のために関与した。

●望むべき成果に集中
 RFIDの取り組みでは、特定のビジネスプロセスにおける明確な目標が最初から存在した。焦点はサプライチェーンの向上であり、特に在庫切れ――お粗末な補充体制のために陳列棚が空っぽになる状態――をなくすことだった。多くの企業は自社が抱えているサプライチェーンの問題を明かさずにいたが、ウォルマートは欠品の頻度が高いことを率直に認め、その解消に意欲を示した。この巨人は自社のみならず、多くのサプライヤーの活動も強く動かした。一部のサプライヤーはウォルマートのRFID推進に抵抗したが、この技術を採用した多くのサプライヤーはおおむね欠品削減で大きな成果を達成した。

●機器のみにとらわれない、包括的なビジョン
 RFIDとIoTの真のメリットは、さまざまな領域に包括的に導入することで生まれる。その対象はセンサー機器のみならず、データ統合、アナリティクス、そしてプロセス変更が含まれる。ウォルマートやメイシーズのような企業は、RFID活用に関するビジョンを確立し、上記の全領域において積極的に変更を実践、事業価値を創出している。