どうやってお返しをすればいいか

 まず、無駄にしないことである。人を紹介してもらった際など、その縁を大切にする。せっかく時間を割いてもらった価値を最大化する努力を惜しんではいけません。

 そして、「その人」にお願いする理由をきちんと伝えることです。「他の人にお願いすればいい」と思われたら相手はその気になってくれません。仕事もそうですが、「あなたしかいない」と言われるのと、「誰かお願い」と言われるのとでは、やる気に大きな差が出ます。自分が相手に失礼を承知でどうしてもお願いしたい。その背景と意思をきちんと伝えることです。

 その上で、お願いごとを引き受けて下さったら、感謝の気持ちを十二分に伝えることです。そもそも、人にお願いごとをするのは最後の手段です。それを引き受けてくれたのなら、感謝の気持ちは尽きないはずです。それをきちんと相手に伝える。結局、目上の人に何かお返しできるとすれば、感謝の気持ちを伝えることしかないと思います。

 一度お世話になった人は絶対に忘れません。こうして「頼みごとを引き受けてくれた」人にはずっと感謝の気持ちをもってつき合うことができる。これが人との関係をつくる最初の一歩でしょう。

 では、目上の相手に一方的にギブされていていいのか。ここは悩みどころです。いざとなったらいつでも返す心構えがあっても、そのチャンスは一生来ない可能性もあります。そこは開き直るのも一つの手です。

 その場合、Aさんからもらったギブを、Aさんに返すのではなく、Bさんに返すという考え方です。親からの愛情を自分の子供に返すのと同じで、先輩から受けた恩を後輩に返すことで、大きな目で見て人生の収支決算を合わすのも一つの手です。所詮目上の人にお返しできないなら、これで遥かに自分の精神的安定も保てますし、お世話になった人にも顔が立つし、社会のためにもなります。

 とはいえ、人に頼みごとをするだけのフリーライダーを許すことはできません。ここでもベンジャミン・フランクリンはいいことを言っています。「目上の人には謙虚に、同僚には礼儀正しく、目下の人には優しく」。人との良好な関係を築く基本は、誠実さにつきるようです。(編集長・岩佐文夫)