ものづくり改革の肝は
モジュラー・デザインへ

シニアディレクター
荒井 岳氏

 デジタル・マニュファクチャリングの入口でありECMに欠くことのできないものが、設計業務を基点としたモジュラー・デザイン(設計段階から全社的に製品のモジュール化を進める取り組み)である。

 自動車メーカーでグローバルSCMプロジェクトをはじめ多くの改革を実践し、ものづくり分野で豊富な経験と実績を有する関利隆シニアマネージャーは語る。

「グローバル時代、世界各地の多様な顧客ニーズに対応すると、製品は多品種化し、それに応じて部品点数は幾何級数的に増えてしまいます。加えて生産の現場は自動化、デジタル化、ロボット化が進み、企業全体ではIoTやビッグデータの利活用が望まれます。従って多くのグローバル企業では、各地域の顧客仕様に遂次対応する設計・技術部署が企業活動のボトルネックになりつつあります。これらの問題を一掃するソリューションが、設計部門を基点としてグローバルなマス・カスタマイゼーションに全社で取り組むモジュラー・デザイン活動です」

 モジュラー・デザインは、多様な顧客ニーズに応じたマス・カスタマイゼーションを実現し、プロダクトライン横断的な部品の標準化等によって、部品点数の削減、生産設備や機械、それを支えるITも効率化とモジュール化を図ることができる。これにより、企業活動全体にわたる効率化の達成と、IoTやビッグデータ技術の活用効果最大化が可能となるという。

 このモジュラー・デザインが企業単体ではなく企業グループを越えて業界全体で標準化されると、それがデファクト・スタンダードとなり業界の勢力地図にまで影響を及ぼす可能性がある。

「たとえば、新興国市場に向けた冷蔵庫のドアには鍵穴が付いています。もしも家電業界において鍵穴付きのドアモジュールがグローバル標準の仕様となり、日本企業が対応できなければ日本仕様のモジュールは世界市場では選ばれなくなってしまうということです」(荒井氏)

 とりわけ日本企業は、デファクト・スタンダードづくりが苦手である。ものづくりで優位な日本企業であっても、「インダストリー4.0」に代表されるコンソーシアムの取り組みに対しても予断を許さない状況だ。