異業種との競争を脅威と見るか、チャンスと見るか

 この分類は実務家にとっては後付けの理論と感じるかもしれない。しかし、自社の事業戦略を見直す物差しとして使えるのではないだろうか。とかく新事業というと、新製品・新サービスの立ち上げを頭に描きがちだが、儲けの仕組みに着目する点が特に有用だ。アマゾンが奇しくもデリバリーの変更として扱われたように、既存のビジネスプロセスの仕組みを変えることと、ビジネスモデルを変えることは似て非なることと理解できるだろう。

 先のカーシェアリングに代表されるように、デジタルとネットの発展により、新しいサービスが勃興する可能性がある。モノとモノがネットで繋がるIoT(Internet of Things)の世界では、この動きをさらに加速させるだろう。もはやゲームのルールを一企業が作り直すことが可能なのだ。

 製品やサービスの機能での競争や、価格競争は従来のゲームのルール内の競争に過ぎない。競争のゲームそのものがいとも簡単に変わる時代になると、競争相手が多様化する。この現象を、無数の競争相手を迎える脅威ととるか、無数に事業分野が広がるチャンスととらえるか。それは、既存のルールを死守する発想と、既存のルールを破壊する側の発想とに分かれる。

 本書は、これからの競争の勝者がゲーム巧者ではなく、ルール創造者の手に移ることを意味しており、今後のビジネス競争の動きを先取りしたものと言えるだろう。これを、業界を超えて競争相手が現れる脅威を示した本としてではなく、無限に広がるチャンスを示した本として読んでもらいたい。