●「後で」という逃げ道を断つ
 仕事で大変な思いをしている人によくあることだが、重要な仕事は後で(夜や週末などに)片付けようと考えると、日中の仕事を先延ばしにしがちとなる。実際には、後になって仕事を効率よく片付けるのは難しい。罪悪感を感じずに空き時間やオフを過ごせなくなり、その事実に疲れと憤りを感じるからだ。この心理的な悪循環を断つには、後でやるという選択肢をなくす必要がある。

 まず、やるべき仕事の完遂に必要な時間を特定し、勤務時間の中に組み込んでみよう。作業リストを見ながら、それぞれの所要時間を見積もる。たとえば月末にプレゼンテーションの予定があるなら、情報収集に必要な時間、プレゼンにまとめ上げる時間、チームの検討にかける時間、リハーサルの時間を概算する。そして現在からプレゼン当日までのスケジュールに、それぞれの作業時間を具体的に組み込もう。To Doリストをカレンダーに落とし込んでみると、個々の作業を進めなければ時間がなくなることを自覚できる。これで今日の仕事を明日に延ばすという選択肢はなくなる。翌日には別の作業が入っているからだ。

 さらに、定時後の時間も予定で埋めるとよい。勤務時間後の予定表に隙間があると、そこを仕事に使えると考えてしまい、先延ばしの誘惑に駆られやすくなる。たとえプライベートな時間を犠牲にすることになってもだ。だから、退社後を私的な予定で埋めてしまおう。友人との食事、子どものサッカーの試合観戦、ジムでのエクササイズ、副業、等々。職場の外でやりたいことを決めておくことで、その予定をキャンセルしないですむよう、日中の時間をできる限り有効に使おうという意識が高まるはずだ。

●スケジュールを規則的にして、変化を少なくする
 日中のほとんどをネットの閲覧で過ごしながら、仕事は後でいっきに片付けるから大丈夫だと自分を納得させている人は、やがて来る不快感をみずから招いている。いざ仕事に取り組むと、生産性が上がらない自分を責めて目の前の作業から気が逸れてしまうか、自分を追い込みすぎて疲れ切ってしまうことになる。

 幸いにも、この誤った思い込みを逆手に取って克服する方法がある。行動経済学者ハワード・ラクリンが行った喫煙習慣に関する研究によれば、被験者に喫煙行動を一定に保つこと、つまり毎日同じ本数のタバコを吸うことを求めた結果、本数を減らすようには指示していないのに、全体的な喫煙量が徐々に減っていったという。今日1箱のタバコを吸うなら、翌日も、翌々日も1箱を吸うことになる。この事実を前にすると、その本数を吸いたいと思えなくなったのだ。

 この原理を利用して、効率的な時間管理へと自分を向かわせることができる。「今週の後半にいっきに片付けるから、今日は半日ネットサーフィンしていても大丈夫」と自分を納得させるのではなく、こう自問してみよう――「自分はこの先ずっと、半日ネットサーフィンして過ごしたいのか?」。そんなわけがない、時間の無駄だ、というのが大方の答えだろう。すると、その分の時間を日々もっと生産的なことに使おうという気になる。スケジュールの変化を少なくして、毎日同じ量の仕事をこなすようにすると、後回しにつながる心理的な悪循環を断つことができるのだ。

 将来の時間を当てにせず目の前の時間を賢く使うことは、目標へのコミットメントを保つことにつながる。何カ月も放置しているプロジェクトを抱えている人や、経費の精算を溜めている人は、今日中に手をつけるために上記の対処法を検討してみよう。


HBR.ORG原文:Why Saving Work for Tomorrow Doesn’t Work August 25, 2014

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エリザベス・グレース・サンダーズ(Elizabeth Grace Saunders)
時間管理のコーチングとトレーニングを提供するリアルライフEの創設者。著書にThe 3 Secrets to Effective Time Investment: How to Achieve More Success With Less Stressがある。