競争しない3つの戦略

 一方で、資源の劣る企業が生き残っていくためには、大きく2つの選択肢がある。一つは「(競争しないで)分けていこう」という「棲み分け」の発想であり、もう一つは「(競争しないで)和していこう」という「共生」の発想と言える。

棲み分け

 棲み分けが可能になるためには、リーダー企業が同質化できない事が必要である。そのためには、①リーダー企業のもつ経営資源と、当該企業が仕掛ける市場とが不適合になる場合と、②当該企業が仕掛ける競争のやり方と、リーダー企業の資源もしくは戦略が不適合になる場合の2つがありうる。

 ①の市場との不適合とは、リーダー企業の持つ経営資源から見て、当該企業が開拓した市場が規模的に小さすぎて、そこに参入するとリーダーの高い固定費により赤字になってしまう場合や、その市場を開拓するための経営資源が非常に特殊で、その市場開拓のための資源を今から保有するのは割に合わないような場合に発生する。リーダーの資源と当該企業が攻める市場とが不適合であった例としては、印刷業リーダーの大日本印刷に対してディスクロージャー書類の印刷から成長してきたプロネクサス、セブンーイレブンに対して北海道に特化したセイコーマート、日本生命に対して税理士チャネルを固めた大同生命などがあげられる。こうした戦略は、一般に「ニッチ戦略」と呼ばれている(図表3参照)。

 

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図表3

 ②の競争のやり方との不適合とは、当該企業の採った戦略に同質化をしかけると、リーダー企業が保有する経営資源や、リーダー企業がこれまで採ってきた戦略との間に不適合が生じるケースである。リーダー企業が持つ「資産」が、事業を進めるにあたって「負債」になってしまう戦略や、リーダーが進めてきた戦略と逆行するような戦略が、これにあたる。

 日本生命に対して営業職員を持たず保険料の内訳を開示したライフネット生命、日本コカ・コーラが追随できない特保コーラなどがこうした戦略の例である。これらの戦略は、リーダー企業内にジレンマを起こすため、「不協和(Dissonance)戦略」と呼ぶ(図表4参照)。

 

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図表4