緑と青を4ボックスで読み解く

 では、4ボックス・ゲーム・フレームワークを使って、緑の組織(日系組織)と青の組織(外資系組織)における組織行動の特徴を浮き彫りにしてみよう。

共同作業ドリブン:緑の組織における組織行動の特徴

 まず、緑のゲームについて、緑の企業組織Jに新人がはいった場合にどのようにゲームのプレーを学んでいくかを追いかける形で考えてみたい。

1.企業Jには一般の人でもアクセスできるホームページ上の資料や、従業員用のハンドブックなどの資料があるだろう。新人はプレー(仕事)を始める前にそうした資料に目を通して組織の理解に努めるだろう。入社直後には人事部主催のオリエンテーションにも出席して、さまざまな説明を受けるだろう。まずは、4ボックスの<右下>の「要約」を、<左下>で理解している段階である。

2.新人は資料に書かれた内容を頭で吸収しつつ、さまざまな状況を想定して、自分がそこでどう身を処すのかといったシミュレーションを行う。4ボックスの<左上>だ。

3.新人は準備万端と思って配属先の部屋にいく。足を一歩踏み入れたとたん、きゅっと体が縮こまるような体感におそわれる。まさに会社生活が始まった瞬間の緊張だ。ただそれは一瞬のことだろうと気を取り直し、とにかく部屋の中に入っていき、そこに居る人たちの中に交ざって頭や体や気持ちを動かそうとする。だがなかなかみながやっているようにはできない。彼らはその会社のプレーを平均すれば10年以上やっているのだから無理もないのだが、一流大学を出た優秀であるはずの新人にとっては想定外の不適応状態が続く。以上は4ボックスの<右上>での現場体験である。

4.週末になってどうもおかしいと一人で考え込む。先輩諸氏から箸の上げ下げ的なことも含めた諸々のお小言をもらった状況を思い出す。少々落ち込みながらも、従業員ハンドブックやイントラネット上の会社を説明する文書を読み返すのだが、実際にその部屋でどう考え行動すべきかについて参考になる情報は皆無だ。書いてあることと実際はまったく違う。これは、振り出しに戻って、<左下>で、<右上>の出来事を思い出して、<右下>の要約で作戦を考えている状態だ。そして要約が役に立たないことにようやく気づいたわけである。

5.このようにして新人は雨にも負けず、風にも負けず、ヒトにも負けず、毎日4ボックス内での動きを繰り返した。数年が瞬く間に過ぎ、最初に足を踏み入れたときの空気の違和感はもはやない。新人は緑に見事に染まったのである。

 さて、この新人のように緑に染まるのに数年かかるかはともかく、緑の組織においては、<右下>の「要約」がもつ組織行動に対する説明力が極めて限定的であり、<右上>の「集団行動」の場にどっぷりつからないと本当のところがまったくつかめない。要約の効能不足により、組織行動のマスターに長期間・長時間を要する。言い換えれば、緑の組織では、<右上>の集団行動の場、すなわち「現場」が圧倒的に重要であり、「共同作業ドリブン」である。

ルール・ドリブン:青の組織における組織行動の特徴

 これに対して青における組織行動の特徴を4ボックスで読み解くとどうなるか。緑の場合との比較を意識して、また新人の場合で考えてみよう。青の新人は、新人といっても組織が求める個別の職務要件をすでに満たす人として採用される。その意味で、緑の組織が想定する「新人=新卒=専門性をほとんどもたない素人=当社の色に染めやすい人」とは異なる。

 青の組織では「職務要件」がポイントなのだが、これは4ボックスでいえば<右下>の「要約」と関連している。「要約」とは広義のルールであり、戦略や組織像や人事制度などを含む。職務要件も人事制度の詳細部分として要約に含まれる。さらにいえば、戦略・組織ニーズに照らして、どの職務がそこを埋める人材を必要としており、その空いた職務に求められる専門性等が職務要件として明確に定義されて、それを満たす人材を採用するということになる。

 そして、そのようにして採用された新人が、実際に専門性等の職務要件を満たしていれば、彼ら彼女らは即戦力として活躍することが可能である。もちろん、専門性だけでは充足できないその会社流の仕事の作法を身につけてフルスピードで活躍できるまでには時間がかかるが、この面でも緑と比べればルールブックなどから学べる比率は高く、短い時間での習得が可能である。要するにルールが明確だから、ルールを学べば、事を運べるのである。青の組織では<右下>の「要約・ルール形成・戦略策定」が圧倒的に重要な「ルール・ドリブン」である。