思考・行動のフレームワーク
4ボックス・ゲーム・モデルとは

 ゲーム理論で組織行動を論ずるとき、人々(ゲームのプレーヤー)の思考・行動について、下図のようなフレームワークを使うことがある。

 水平方向の対照は、個人(プレーヤー)と集団(組織)である。垂直方向の対照は、思考と行動である。水平軸と垂直軸を組み合わせると、2×2で4つのボックスができる。ここではこれを4ボックス・ゲーム・フレームワークと呼ぼう(囲み参照)。このフレームワーク上でゲーム(組織行動)は次のように進む。

1.個々のプレーヤーたちは、他のプレーヤーたちがどうゲームをプレーしているかを予想(思考)する(左下)。

2.プレーヤーは自らの予想(思考)にもとづいて戦略的行動を選択する(左上)。

3.こうした個々のプレーヤーによる戦略的行動の選択を通じて、集団(組織)においてゲームの均衡が近似的に成立する(右上)。

4.さらに、こうした均衡が言語的に要約されて示される(右下)。

5.要約のもっともらしさが、4ボックス上で左下⇒左上⇒右上と展開される実際のプレーによって絶えず確かめられる。以上を通じて、人々の予想が整合的な形でコーディネートされるという循環関係が成立する。
 

『青木昌彦の経済学入門: 制度論の地平を拡げる』(筑摩書房、2014年)によれば、4ボックス・モデルの均衡モデルは経済学の一般均衡理論を模しているという。経済学の「一般均衡理論では、プレーヤーたちがいろいろな財を供給したり需要したりしているが、それらの財の総需要と総供給のバランスがとれている状態、すなわち均衡状態を考える。そのとき、各プレーヤーはそうした均衡のありかた(他の人々がどう行動するか)その有様をすべて知っている必要はない。単に価格だけ知っていればよい。(中略)いわば均衡価格が均衡状態を要約しており、いわゆる情報の効率性が実現されている」という。
 同じように4ボックス・モデル上で、<右下>の「要約」が「戦略的な行動の均衡状態(ゲームの均衡状態)」に関する情報を効率よく伝達することになる。つまり4ボックス・モデル上の「戦略的な行動の均衡」は経済学における「財の需給の均衡」に対応し、「要約」は「価格」に対応する。
 このような4ボックス・モデルを使って、まだら模様のグローバル化論では、緑と青の各組織における行動の均衡を比較する。加えて、次回以降になるが、緑と青がインタアクトする際の均衡や、緑と青が合体する際の均衡などについても考えていく。