1.知識の共有
 生成的な企業は自社の事業成長のみならず、他の事業者にも機会を与えようという意図の下に業務プロセスを構築している。たとえばバッファーは給与、ストックオプションの配分率、リアルタイムでの業績データなどを公開している。そして自社サイトのダッシュボードで、収益や業績評価指標、各種分析に関するデータも公開している。他の事業者はその情報を見ながら、自社の成長や指標の有用性を評価したり、バッファーの学習経験を自分たちの事業に応用したりできるのだ。

 ハンドメイド品やビンテージ品を取引できるeコマースサイトのエッツィーは、同様の生成的なビジネス慣行を技術面で日々実践している。エンジニアリングに関する自社のブログ(Code as Craft)では、技術的な問題を分析し公開している。そして地域のプログラマーのコミュニティ向けに、専門家を育成するワークショップを開いている。また、成功事例をスライドシェア(プレゼンを共有するプラットフォーム)で紹介し、ギットハブ(GitHub)のリポジトリにコードを保管し、公開している。これらの取り組みはすべて、他のソフトウェア関連企業の学習と成長を後押しするためだ。

2.互恵的なエコシステムの構築
 生成的な企業はステークホルダーとの間に互恵的な関係を築き、ネットワーク全体に価値が生まれるようにする。エッツィーは100万を超える出店者に対し、オンライン講義や対面型ワークショップ、動画によるチュートリアルといったさまざまな学習機会を提供。店のブランディングや商品のマーケティング、さらには在庫管理までを向上できるようサポートしている。そして出店者間の競争を促すのではなく、チームとなって協働し互いの事業を支えあうよう導いている。また、出店者のコミュニティにさらなる機会を提供すべく、200社近くの企業と提携し、サードパーティのサービスプロバイダーで構成されるエコシステムをエッツィーのプラットフォームに構築している。この方法で同社は2013年、マーケットプレイスだけで13億ドルを売り上げた(前年比50%増)。

 マーケットプレイスでの出店者の販売を後押しすることで、エッツィーの収益も増える。また、出店者がクラフトフェアや地元の小売店、ならびに出店者自身のウェブサイトでも商品を販売できるようサポートしている。さらに、ノードストロームやウエストエルムなど実店舗で全国展開する小売企業とも提携し、出店者に新たな販売チャネルを提供している。個々の取引からの利益を積み重ねようとするのではなく、ステークホルダー同士が助け合い、エコシステム全体が成長するよう積極的に働きかけているのだ。つまり全員が恩恵を得る仕組みである。

 こう聞くと、生成的な事業は「プラットフォーム」と同義だと思われるかもしれないが、そうではない。対照的な例として、ユーザーの投稿で地域事業者を評価するサイトのアンジーズ・リストが挙げられる。このプラットフォームは、登録した事業者が顧客と直接交流することで利益を得られるように設計されているが、その一方で事業者同士を競わせる構造になっている。このカスタマーレビュー・サイトは、登録事業者を地域とサービス内容に応じてリストに掲載するが、追加料金を払った事業者だけがリストの上位に載るようになっている。たとえ自社の(そしてアンジーズ・リストの)顧客に付加価値の高い製品やサービスを提供していても、追加料金を払わなければ不利になってしまう仕組みだ。

「リストの上位は有料」というこのやり方は、アンジーズ・リストの収益源である半面、ネットワークがより大きく成長する可能性を制限することにつながる。