すべての企業がフェイスブックのような規模で選択肢を提供できるわけではない。しかし全社的な目標と日々のタスクを達成しやすくするために、どんな空間やツールを従業員に与えられるかを真剣に考えるべきだろう。全員に当てはまる万能の方法はなく、選択肢は個々の組織とその必要性によって異なる。

 米ヤフーによる自宅勤務の廃止は、この勤務形態がCEOマリッサ・メイヤーの掲げる「イノベーションの促進」という目標と相容れないからだと思われる。メイヤーが求めたのは、仕事場を共有することで促される対面による交流、アイデアの交換、偶然の出会いや非公式な対話だ。イノベーションを促進しながら選択肢を与えるための、物理的なデザイン手法はさまざまにある。個々人専用の机の数を減らす、カフェを設ける、腰を下ろせるラウンジ風のエリアを設ける、人々が集いリラックスできるエリアをオフィスの内外に多く設ける、などはそのほんの一部だ。

 商業用不動産を扱うグローバル企業CBREがロサンゼルスに新設したオフィスでは、仕事場や作業スペースの割り当てというものがない。従業員は毎日、その日の仕事内容に合わせて15種類の異なる空間から仕事場を選ぶことができる(コラボレーション・ルーム、居心地のよいソファー、防音処理されたガラス張りの1人用個室などを含む)。また、職場の可動性と柔軟性を高めるため、どこにいても仕事ができるモバイル・テクノロジーを従業員に提供し、ほとんどの書類をデジタル化してペーパーレスなオフィス環境を構築した。同社は文字通りの意味でも比喩的な意味でも壁を取り払うことで、部門間のコラボレーションを促し、生産性を高め、従業員がまったく新しい方法で働けるようにしたのである。

 職場に関する選択肢の提供は、自主性重視の組織文化を構成する一部分でしかない。制度面のサポート、そして生産性を最大化するツールとテクノロジーの適切な導入も必要となる。これらが整えば従業員のパフォーマンスは向上し、満足度とモチベーション、そして創造性も高まる。そうした従業員は、高業績を望む組織がまさに必要とするものだ。


HBR.ORG原文:Employees Perform Better When They Can Control Their Space January 16, 2014

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ダイアン・ホスキンズ(Diane Hoskins)
ゲンスラーの共同CEO。設計が生産性、サステナビリティ、経済に及ぼす影響を研究・数値化する、業界有数の調査プログラムの開発を主導した。