ただし、こうした成果は、仕事場を一新しただけで自動的に生まれたわけではない。新たな作業空間は、移行期間を含めて入念に管理する必要がある。以下に、シティの経験から得られた教訓をいくつか挙げてみよう。

●オープンな空間を適切に保つための、テクノロジーを導入する
 中でも重要なのが、ホワイトノイズ発生器だ。これによってオフィスの雑音を消し、従業員が集中できる程度に静けさを保つ。また全員にヘッドセットを与え、ハンズフリーでの電話を可能にしている。さらに、従業員がどの席であれコンピュータにログインすると、各自の設定したデスクトップ画面と電話番号が自動的に出るようになっている。

●新しい規範を設ける
 カタラーノとシティワークスのチームは、新たな仕事場で最も効果的に働くための指針を示す手引き書の作成に取り組んでいる。この手引き書は、人々が新たな空間に慣れるにつれて進化し更新されるよう意図されている。

●カスタマイズを認める
 自分たちのネイバーフッドをカスタマイズしようとするチームを邪魔しない。あるネイバーフッドには、1人の従業員が同僚たちの出張土産にもらったスノーグローブのコレクションが並べられている。ダイバーシティ・チームは、シティに授与された賞の数々――自分たちのプライドの大きな拠り所――を飾っている。

●問題には全員で対処するよう促す
 何か問題が生じた場合、リーダーだけでなく全従業員が対処にあたることをカタラーノは重視している。ライカーマンが挙げた例では、これまで従業員は隣のオフィスにいる人と電話やメールでやり取りをしていたが、いまはただ振り返って直接話をすればよい。このため、たとえホワイトノイズ発生器が設置されていても、よく響く声は時に迷惑となりうる。「話し声が大きすぎる場合には、誰もが気軽に注意できるようにする必要があります」

 ネイバーフッドの設定は人事部の改善に寄与したが、この新たな仕組みはまだ発展の途上にある。目標は、ネイバーフッドに属するそれぞれのグループが帰属感を持ちながら、オープンで協力的な仕事場の妨げにならないという状態だ。「時が経つにつれて、ネイバーフッドの線引きは曖昧になり、人々は1つにまとまっていくのではないでしょうか」と彼女は予想している。


HBR.ORG原文:Why Citi Got Rid of Assigned Desks November 12, 2014

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エレン・ガリンスキー(Ellen Galinsky)
職場に関する研究を行う非営利機関ファミリーズ・アンド・ワーク・インスティテュートの共同創設者兼プレジデント。共著書にWorkflex: The Essential Guide to Effective and Flexible Workplacesがある。

イブ・タークミンジオル(Eve Tahmincioglu)
ファミリーズ・アンド・ワーク・インスティテュートのコミュニケーション担当シニア・ディレクター兼ソーシャルメディア部門長。