発見③:ネットワーク・オーケストレーション型の企業は非常に少ない
 ネットワーク・オーケストレーションは複数の業績指標にこれほど効果をもたらすにもかかわらず、このモデルを採用する企業の数は全体のわずか5%未満である。なぜだろう。それにはいくつかの理由が考えられる。

 第一に、今日ではネットワークを基盤とするビジネスモデルには最新の技術とコンピテンシー(能力・適性)が必要とされる。伝統的な企業のリーダーが得意とするのは、物的資産や人材を開発、維持、管理することだ。ところが、ネットワーク・オーケストレーション型企業は無形資産を活用する。たとえば知識(専門家のネットワークを運営するガーソン・レーマン・グループ)や人間関係(フェイスブック)、他者の資産(Uber)である。そして人々のつながりやその資産、人間関係を活用するために、「非管理的」で「非所有的」なコンピテンシーが求められる。

 第二に、一般会計原則(GAAP)では、一部の資産は有形固定資産、その他は経費(人材、研修、知的財産など)に分類される。ところが、それらに該当しないもの(顧客、市場心理、ネットワーク)は完全に無視されるので、無形資産に対する資本配分が少なくなることが多い。これはきわめて大きな問題である。なぜなら現在では、無形資産が企業の時価総額の約80%を占めているからだ(英語記事)。

 第三に、標準的な産業分類に従っている企業はタコつぼ的な思考に陥り、その隙を突いて新しいビジネスモデルを持つ企業が参入してくる。1990年代初頭を振り返ってみよう。多くの伝統的な小売業者がオンラインの分野に乗り遅れたのは、みずからを「テクノロジー企業」と見なしていなかったためだ。すると放っておかれたオンライン市場に、アマゾンやイーベイ、ザッポスをはじめ新たなプレーヤーが多数入り込み、マーケットシェアを奪い、小売業界の勢力図を変えてしまった。今日ではネットワークの力により、業界の垣根を越えた新たな変革が起きている。そのことは、Uberやリフト(Lyft)がタクシー業界にもたらしている変化や、Airbnbがホテル業界に与えている影響を見ればよくわかる。