3.リーダー自身が実践する
 これは、「世界を変えたいならば、あなた自身がその変化を体現しなさい」というガンジーの格言に従ったアプローチである。従業員がみずから責任を持って生産性の向上に取り組む――これをリーダー自身が実践し範を示すということだ。その1つの方法として、知識労働者と彼らの名目上の上司との間における責任のバランスを大きく変えるとよい。そうすれば、もっと能力を発揮できるよう知識労働者を導くことができる。

 マイクロソフトでテスト・ディレクターを務めていたロス・スミスの例を見てみよう。彼がテストを担当していたのは〈Microsoft Lync〉という、ビデオ会議やインスタント・メッセージを可能にする製品だ(以前の名称は〈Microsoft Office Communicator〉)。2009年の就任以降、彼は80人からなるテスト部門のソフトウェア・エンジニアたちがどうすればもっと仕事に責任感を持つようになるかを模索していた。2011年に〈Microsoft Lync 2010〉が正式にリリースされると、彼は次世代製品のテスト開始に向けて自部門を再編するよう社命を受ける。

 そこでロスは、自分ですべてを決めるのではなく、ボトムアップで組織再編がなされるよう導くことにした。チームのメンバーに、部門内の4つのチームのどれに参加したいかを自由に選んでよいと告げたのだ。80人のメンバーたちは「フリーエージェント」となり、自分に最も適した職務を探すことになった。チームリーダーは昇給は提示できないが、各エンジニアにキャリア開発の機会、従事できる新たなテクノロジー、そして共に働く新たな同僚たちを提供できる。

 この再編の取り組み(WeOrgと名付けられた)は予想より長くかかった。メンバーが自分に最適の仕事を見つけようと綿密に調査・検討を続け、将来の上司候補にインタビューしたためだ。このやり方に対する疑問の声も挙がったが、スミスはチームに信頼の文化を醸成していたため、メンバーはたとえ疑念があっても従うことを選んだ。彼はまた、再編による人員削減はないことも保証した。最終的に、チームメンバーの95%がこの新しいやり方を「好ましい」または「ある程度好ましい」と評価した。そしてより広い観点から見た成果がある。スミスの80人のチームは、自身と同僚が最も能力を発揮できる形で仕事を構築するために、大きな責任感を持って取り組んだということだ。

 これら3つのアプローチは大きく異なるが、従業員を安全な領域から強制的に追い出して、より効率的な働き方を見つけてもらうという意味では同じである。余分な時間が生まれれば、だれもが嬉しいはずだ。

HBR.ORG原文:Make Your Knowledge Workers More Productive September 5, 2013

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ジョーダン・コーエン(Jordan Cohen)
PAコンサルティング・グループの生産性問題エキスパート。前職ファイザー在籍時に生産性向上プロジェクトの「ファイザーワークス」を立ち上げ、2010年のManagement Innovation eXchange(MIX)の大賞を受賞。

ジュリアン・バーキンショー(Julian Birkinshaw)
ロンドン・ビジネススクール教授。戦略および起業家活動を担当。著書にBecoming a Better Both などがある。