2.効果的な支援システムを築く
 煩雑な事務仕事ではなく付加価値の高い仕事を優先できるよう、知識労働者を助けるシステムを築く方法だ。実施には多少の時間がかかるが、そのメリットは何年も持続する。主なアプローチは、「新たに何かを立ち上げる」「何かを取り除く」の2つである。

 新たに何かを立ち上げる場合、「仕事の外注」および「超分業」の概念が基盤となる。特定の仕事を安価で外注し、もっと付加価値の高い仕事に専念できるようにすることだ。筆者の1人コーエンは、ファイザーでこのような生産性向上プロジェクトを立ち上げ、責任者を務めた。「ファイザーワークス」と呼ばれるこの取り組みの目的は単純で、従業員が能力をもっと発揮できるように支援することだ。社内でだれかがファイザーワークスを介して助けを借りたいと思ったら、その人はただボタンをクリックし、必要な仕事の説明をポップアップ画面に入力し、送信ボタンを押すだけでよい。仕事が完了すると、利用者は外注によって節約できた時間と費用を社に報告する。

 たとえばある従業員の望みは、「全米のなかで、医薬品の代替調剤に関する法律の傾向が似ている州」を知ることだとしよう。この要望は外部のアナリストに発注される。受注者は各州の医薬品代替調剤に関する法律を検索・特定・ダウンロードし、全米50州のデータをそろえる。各州の法律に目を通し、似た傾向を持つものをグル―プ分けする。成果物はプレゼンテーション資料またはデータベースの形式で発注者に納品される。

 このシステムの最大の効果は、従業員が容易に他者の助けを借りられること、そしてより興味とインパクトの大きい仕事に専念できるためにモチベーションが上がることだろう。

 次に、何かを取り除くアプローチを考えてみよう。大企業のマネジメント・プロセスには単純化の余地がある。スイス大手銀行UBSのウェルス・マネジメント部門を率いる経営陣は数年前、将来の成長を阻む最大の要因は煩雑で旧態依然の予算編成プロセスにあると気づいた。そこでトップダウンのプロセスを取り除き、世界各地の取引部門長に目標設定の責任を担わせた。これが事業のより効率的な成長につながり、自社の知識労働者(顧客アドバイザー)は以前よりも大きな責任を引き受けるようになった。

 よりミクロなレベルでは、スイスの大手製薬会社ロシュで行われた取り組みがある。ある部門で、経費の請求・処理プロセスを大幅に簡素化するために、上司の承認・管理を不要とし、代わりに従業員どうしで評価し合うという実験を行った。これによって、(あらゆる経費について上司の承認を得るという)付加価値のない作業が取り除かれた。