各国を結ぶ回廊経済とは

 早朝のジャカルタ-シンガポール便の飛行機はいつも満席だ。ジャカルタを出発し、昼にシンガポールで会議、その後クアラルンプール等の他国に向かう、といったことも珍しくない。日本において、新幹線で東京と大阪を日帰りで行き来するのと同じ感覚だ。

 ASEANは国がバラバラなので、さぞかし大変だろうと思う方が多いことだろう。ところが、実はそうでもない。国境を跨ぐことの意識は日本のそれとは随分異なっている。

 ベトナム214%、カンボジア197%、インドネシア185%、フィリピン173%。この数字は、ERIA(東アジア-アセアン研究センター)が経済回廊による経済効果を2010年と2020年で比較したものだ。ADB(アジア開発銀行)や日本政府も「東西経済回廊構想」を発表し、実施も後押ししている。都市間を繋ぐ回廊経済の出現が経済規模拡大に繋がるという話だ。この話はあながち大それた話でもない。

 回廊経済といっても狭義、広義で使い分ける必要がある。たとえば、狭義では、タイのバンコク周辺にどれだけの工業地帯が発展するか。また、ベトナムのハノイ市郊外ではどのような産業集積が広がっているのかを見極める必要がある。日本で言えば、国レベルの成長以上に、京浜工業地帯や東海道産業ベルトの進展が実ビジネスに影響を与えるのと同じことだ。広義では、国家を超えた回廊を経済のかたまりと捉えることだ。

東南アジア財閥企業の存在感

 セブンイレブン、ローソン、ファミリーマート等、日本で目にするコンビニエンスストア。ASEANの大都市を歩くと、日本と同じようにコンビニが溶け込んでいる風景が見られる。わずか数十メートル間隔に同じような店舗が並ぶことも珍しくない。

 ところが調べてみると、これらのコンビニのオーナーは地場の巨大資本が関与していることが多い。何も生活産業に限った話だけではない。銀行・保険といった金融業、エネルギー、不動産、建設等あらゆる企業でも同じようなグループ名を目にする。

 シンガポール、マレーシア、インドネシア等で同一資本が事業を展開するケースは決して珍しくない。「Emerging Giant(地場巨大資本)」と呼ばれる財閥の存在感は日に日に大きくなっている。2008年から2013年の間で、フォーブス・グローバル2000にランクインする企業は約34%増加(55社から74社)。総資産に至っては約47%増加(230億ドルから340億ドル)している。これは各国の地場企業が大きくなり、ASEAN地域でも成長し、さらには世界企業化していくといってよい。

 国内市場の高度化・成熟化に対応して、地場企業も進化を遂げているのだ。

 このような中で、協業・競争相手は今までとは大きく変化していく。市場が変われば、組み方も変わる。この地域での財閥の存在感をどう考えるか。ビジネスの仕方にも大きな影響を与えていくことになる。