成長のフロンティア追求型の
新興国参入戦略は続かない

 アジア経済が世界経済に占める割合は過去25年で約20%から30%に拡大し、この10年間の平均成長率は6.1%と世界平均成長率の5.5%を上回っており、注目度は高かった。

 経営コンサルティングの分野でも新興国参入戦略というテーマが増え、筆者も中国、インド、中南米等アジアを含む「新興国」と言われる地域で仕事をしてきた。訪れた多くの新興国では大型ショッピングモールが建設され、先進国と見紛うほどの電化製品が並び、大きな活力を感じた。

 アジアの成長は右肩上がり――そのような見方もあるが、本当だろうか。

 中国の成長鈍化や、人件費高騰、社会不安等も踏まえ、「チャイナ+1」という言葉に代表されるように、ASEAN各国への注目も再び高まっている。そうはいっても、現在のASEANで注目される点は、アジア通貨危機以前のような「新興フロンティアの追求」と同じでいいのか。マレーシアやタイ等、中進国の仲間入りをしている国もあり、それらの国々が中国のような成長の鈍化に既に直面、ないしは近い将来減速することも明らかだからだ。

 新興市場参入の視点をどう切り替えるか、が問われる時代だ。

ASEANで起きている
新興市場参入戦略の変化

 マニラ37%、バンコク31%、ホーチミン21%。この数字は国のGDPに占める都市の比率だ。ニューヨーク9%、上海5%、ムンバイ3%と他地域と比べてもその比率は高い。規模はどうか。マニラ1,200万人、バンコク900万人、ジャカルタ1,000万人、ホーチミン800万人と、1,000万近くのギガシティ(超巨大都市)が並ぶ。

 どの新興国を攻めるか――そんな時代は過ぎているのかもしれない。

 ASEAN地域では、各国を結ぶ回廊構想も進む。アジア開発銀行によれば、東西回廊(ミャンマー~タイ~ラオス~ベトナム)で約800億米ドル(約10兆円)の経済効果を見込む。南北回廊やインド・メコン回廊等でも、地域経済にインパクトを与える。インドネシアやマレーシアの中央銀行の連携など、従来の国家の枠組みを超えた経済圏へのシフトが進む。

 それでは、この地域の将来をどう捉えればよいのか。またビジネスチャンスを見極めるにはどのような視点が必要なのか。

 筆者は4つの視点があると考えている。すなわち、都市化、ゾーン経済化、回廊経済化、地場巨大資本(Emerging Giant)の動向である。このような見方はASEANに限らず、新興市場参入戦略全体にも当てはまるものなのだ。