――これまでのところ、スタッフの反応はどうですか。

 彼らは安心しています。ロボットが従業員に取って代わることはないからです。当ホテルにはドアマンやベルボーイはおらず、フロントのスタッフしかいません。このロボットは基本的に、スタッフがフロントを離れて、階上へ駆けつけなければならない仕事を肩代わりすることになります。ボトラーを客室に派遣することで、スタッフはフロントにいながらお客様により充実した対応ができるようになります。だれもが窓口やフロントで「5分後に戻ります」と書かれた時計のマークを目にしたことがありますね。私たちはそれをなくそうとしているのです。

 それから率直に言って、仕事ぶりが以前よりも改善しました。スタッフは個々のお客様に合わせ、よりきめ細やかに対応するようになっています。

――ホテル側にはどんなメリットがあるのでしょうか。コストや信頼性の面で都合がいいということでしょうか。顧客にとってはどんなメリットがありますか。

 子どもの頃に抱いたワクワク感だと思います。『スター・ウォーズ』のR2-D2、『ウォーリー』に登場するロボット、あるいは『宇宙家族ジェットソン』に登場するロージー(ロボットのお手伝いさん)は、カッコいいですよね。しかもボトラーは、実に洗練されています。ロボットがスタッフや宿泊客のそばを通り過ぎると、だれもが顔いっぱいに笑顔を浮かべます。

――私が想像できるのは、チェックインの時にロボットやコンピュータのシステムを介してホテルとやり取りする場面です。チェックインやチェックアウトの過程ではなく、なぜこの目的でロボットを使うのでしょうか。

 私たちはあらゆるプロセスに目を向けています。いま複数のホテルで展開しているキーレスについて説明しましょう。予約を入れ、目的地の都市に到着すると、宿泊先のルームナンバーを知らせるメールとデジタルキーがお客様のスマートフォンに送信されます。それで客室のドアキーを解除できます。つまりチェックインの必要がなくなります。これはお客様にぜひ味わっていただきたい、素晴らしい体験だと思います。

 そうは言っても、スタッフがいなくなるわけではありません。お客様の要望通り、部屋が高層階でエレベーターから離れた場所にあり、禁煙で、ベッドがキングサイズであるよう間違いなく手配するのはスタッフです。それからディナーの予約も。テクノロジーによってサービスを強化し、より差別化された顧客体験を提供できれば、ホテルにとって大きな力になります。

――何をもってボトラーの成功となるのでしょうか。これは実に有効だ、他のホテルにもロボットを導入しよう、という決断に至るには何が必要ですか。

 お客様や旅行者に当ホテルへの愛着を持ってもらうこと、ロボットの価値を認めてもらい、面白さを理解してもらうこと、そしてロボット導入がより迅速なサービスにつながることです。ボトラーが自由にホテル内を動き回り、お客様が笑顔になっているとしたら、それが成功の証だと思います。


HBR.ORG原文:What Can a Robot Bellhop Do That a Human Can’t? August 25, 2014

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ウォルター・フリック(Walter Frick)
『ハーバード・ビジネス・レビュー』のアソシエート・エディター。