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西谷洋介 (にしたに・ようすけ)
BCG東京オフィス パートナー&マネージング・ディレクター 東京大学教養学部卒業。ペンシルバニア大学ウォートン校経営学修士(MBA with Distinction, Palmer Scholar)。ベイン・アンド・カンパニー、GEキャピタル、ニュー・メディア・ジャパン、モニターグループ日本代表を経て現在に至る。 組織変革、組織風土改革、人材育成などのテーマをはじめとする幅広いプロジェクトを手掛ける。BCG組織・人材グループの日本リーダー。

西谷:日本企業の場合、歴史的に見て協働の大切さは組織に根付いていることが多い。ただ、はじめの3つのルールが失われているように思います。協働の要になる人に権限が与えられず、力を発揮できる環境が失われているにもかかわらず、トップは人が育っていないと嘆いているのです。大切なのは、リーダーが何が起こっているか理解し、協働の要になる人に権限を与えることです。この「6つのシンプル・ルール」を理解し、組織を変えていくことが、現在の日本企業に欠かせないことだと思います。

 日本人はこうした新たなルールや仕組みが登場すると、組織すべてを一気に変えなければならないと考えてしまいがちです。すべてを変えようとしすぎることが、かえって仇となることもあります。まずは特定の問題に絞って試してみるとよいと思います。マネジメントをするうえで本当に困っている問題にこのルールを適応し、変えていくのです。そうした変化が積み重なったとき、気づいたら会社全体が変わっていた。そうした変化の仕方もあるのではないでしょうか。

――このルールを導入し、組織に定着させるには、どのくらいの時間が必要なのでしょうか。

 モリュー:一般的に会社の働き方を変えるには、トップダウン型の企業でも、少なく見積もって5年は必要です。M&Aなどにより統合された企業が新しい仕事のやり方を身につけていくには、10年でも足りないケースが多いです。

 一方、この「6つのシンプル・ルール」の導入に必要な時間は最大で3年、早ければ1年半ほどです。「従業員の行動を理解する」という第1のルールをはじめに徹底するからです。現場、現実に即したアプローチであるため、いたずらに時間だけがかかるということはありません。

西谷:会社の働き方を変えるのに1年半から3年かかる。この数字にどのような印象を持たれるでしょうか。即効性が求められる昨今、ともすれば冗長に感じられるかもしれません。しかし、私たちコンサルタントがさまざまなクライアント企業の現場で変革を行ってきた経験から言えば、会社の働き方を変えるのは本当に大変なことです。それを1年半から3年で実現できるというのは、かなり早いと思います。

 さらに、先ほども申し上げた通り、組織の全て一度に変えていくわけではありません。もっとも成果に近い、要となる行動から、足元の成果に結び付けながら、組織を変えていくことが可能なのです。

 

【バックナンバー】
第1回:厳格な管理や懇親イベントでは組織の問題は解決できない
第2回:欧米企業はいまなぜ、企業内の信頼関係に注目するのか
第3回:トップは「ミドルの連携」を望んでいる

 

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部門の壁を越えて問題を解決する方法

現場に渦巻く感情、それぞれの事情・・・・個人個人が合理的に動いた結果、会社全体としては、目標や解決策から遠く離れてしまうことがある。部門の壁を超えたコラボレーションが必要といわれるが、現実はそう簡単ではない。もつれ合った複雑な関係をうまくマネジメントするには、シンプルな原則が必要だ。
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