私が仕事でかかわるハーバード・ビジネス・スクールもグローバル化の様相そのままに、中国人やインド人の優秀な学生が集まり、その比率が高まっています。名門と言われる教育機関がグローバル化によって世界からますます優秀な学生を引き寄せているのです。

 ネットで世界中がつながることから、かえって、都市単位での集積が進む、これも現実です。

クリエイティブ・クラスが集まる条件とは

 このクリエイティブ・クラスの概念は、グローバル社会での日本の立ち位置を考える上で多くの示唆を与えてくれます。日本は、スケール(規模)でグローバルで勝負するより、質で勝負する国です。この場合、質とは他にない価値を提供することと同義語です。新しい価値を生み出すことに成功したら、マルチプルにグローバルに展開できます。この価値をつくり出すには複合的なクリエイティブ・クラスの集積が不可欠です。

 本書の中で、フロリダは、クリエイティブ・クラスが集まる3つの条件を上げています。それらは、技術、才能、寛容性です。寛容性とは、異質なものを受け入れる土壌と言い換えられます。たとえば、性的マイノリティの人などが多く住む街は、彼らに快適さを提供しているという意味で、社会として寛容性が高いと理解できます。つまり、多様な人が多様な価値観を発揮してぶつけ合いながら、創造性を発揮できる場。そのような都市こそがグローバル化で成功する都市です。

 東京は技術や才能が集める点では世界的に見ても遜色ありません。ただし寛容性のある都市かどうかは議論の分かれるところです。

 いまや世界の新しいビジネスは、ビジネスの専門家だけでつくり出すのではなく、テクノロジーやアートとの掛け合わせから生まれます。そもそも論理とアートの融合こそ、事業価値が生まれる源泉です。経済圏としては世界的な規模を誇る東京も、テクノロジーやアートの世界がビジネスの世界と、もっと自由に行き来できる場になればイノベーションも生まれやすくなるでしょう。(編集長・岩佐文夫)