大きな流れとしては、リバース・イノベーションに代表されるように新興国発のイノベーションが重視されるなか、「ナレッジを共有しイノベーションを推進する者」としてのリージョナル・リーダーの重要性が高まっていることである。

 たとえばGEを筆頭に、巨大グローバル企業は社内アントレプレナーの育成を重視し、イノベーションを推進している。資金力や人材プールなど、豊かなリソースを投入して、大規模なイノベーションを志向するものだ。インドなどの大きな現地市場、エンジニアやR&D要員の豊富な国・地域を巻き込んでの大がかりなプロジェクトとなる。

 となれば、従来型の限定された各国トップをそのままリージョナル・マネジャーに充てるわけにはいかない。グローバルを統括するぐらいの視点でプロジェクトを考えられる人材が必要であり、そのためには、「現在のその地域の市場規模にとらわれず」「将来のポテンシャルを見込んで」「戦略的に才能のある」人材を選び・配置し、プロフェッショナルとしての経験とスキルを積ませていくことが求められよう。

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マーガレット・コーディング(Margaret Cording)氏
戦略を専門とするIMD教授。IMDの東南アジア及びオセアニア担当リージョナル・ディレクター。ペンシルバニア大学ウォートンスクールでMBA、バージニア大学でPh.D取得。

 現CEOのジェフ・イメルト氏が語ったように、かつてのGEでグローバリゼーションといえば、グローバルに物事を考えられるようにアメリカ人を鍛え上げることだった。しかし今や、社会的イノベーションを進めるためには、リージョナル・マネジャーにソーシャル・キャピタルの構築能力が必須となる。GEはいち早くその方向にシフトしているとチャクラバーティ教授は指摘する。

 新たなリージョナル・リーダーは、その国のユーザーのみならず、NGOやNPOなどとも良好な信頼関係を構築し、なおかつ影響力を与えうる人でなければ務まらない。「その地域にいかにパイプライン(人脈、ネットワーク)を持てるか」とIMD教授で東南アジア及びオセアニア担当のリージョナル・ディレクターを務めるマーガレット・コーディング氏は語る。現地出身のリージョナル・マネジャーであれば他国のマネジメント人材とのパイプラインであろうし、他国から配置されたマネジャーであれば、いかに現地のコンテキストを習得し、人脈を構築できるかが問われてくる。そしていずれの場合も、グローバルの方針とローカルのニーズをつなぎ、最適解を探し、落とし込む力が求められる。

(つづく)

*後編はこちら

 

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