以上の例のように、社会問題解決の取り組みが従来のCSRの制約から解放されれば、企業は副次的なメリットを得られる。イノベーション、効率、そして活力が促進されるのだ。我々の観察によれば、社会事業を営む起業家や組織との連携によって、企業は次の点で組織能力を向上できる。

1.組織文化の変革が進む。ソーシャル・イノベーションの取り組みによって、「ルールを破る」ことが正当化される。

2.効率化が進む。人道的に差し迫った問題に取り組むと、切迫感が生まれ、既存の業務プロセスの省略が正当化される。

3.コラボレーションが促進される。これまでと違う種類のパートナーや協働方式を受け入れれば、従来の市場競争の力学に変化が生まれる。

4.透明化が促進される。多くのパートナーや支援者と一緒に共通価値を築くことは、よりオープンなやり方を試すことにつながる。

5.実験が奨励される。新たな方法の採用において、既存市場の測定モデルには当てはまらない要因や指標を学ぶ必要が生じるため、実験を奨励する環境が育まれる。

 ソーシャル・イノベーションの取り組みから得た教訓を、他のより大規模なイノベーションに応用しようという企業は、中核能力の活用について考えを改める必要がある。マーク・クラマーとマイケル・ポーターが創設した社会事業のコンサルティング会社FSGは、最近の報告書で次のように述べている。

「このマインドセットの変化が企業に与える影響は計り知れない。共通価値を追求する企業は、地元の法律を順守するという小さな努力に甘んじることなく、根本的に優れた経営手法を積極的に模索する。単に評判の向上に努めるのではなく、社会的問題の解決策を実際に見つけるために、イノベーションを起こし、他者と協働する」

 中核能力をどこに活かすかについて考えを改めることは、容易ではない。そして我々の経験によれば、デザインに対する理解を深めることが、この変化を促す強い要因となる。中核能力(そして情熱)をソーシャル・イノベーションの取り組みに結びつければ、企業はイノベーション戦略の健全性と進化の面で大きな見返りが得られるのだ。


HBR.ORG原文:Meet Your New R&D Team: Social Entrepreneurs March 8, 2013

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ロバート・ファブリカント(Robert Fabricant)
デザイン・コンサルティング会社フロッグ(frog)のクリエイティブ担当バイス・プレジデント。