目標を達成しようとする過程においても、達成に向けた行動をロジカルに詰め寄るといった場面はあまり見られない。だから、同じ目標管理制度といっても、ややもすると合目的的な手段・制御装置としての制度というよりも、目的とは無縁の文脈・空気に翻弄されるあだ花のような存在になってしまう。

 ただし、日系企業の中にも、外資系企業顔まけのシステマティックな方法で、目標達成に向けた行動力を発揮する企業が出てきている。緑の日系企業でも、トップがグローバル経営にコミットし、海外諸拠点で使う時間を大幅に増やし、諸市場の特徴・変化を肌感覚でつかみつつ、多様性を踏まえた上で戦略的な統合をめざすという経営スタイルをとるようになると、多様性を統合する上で有効な青の枠組・要素が必要となってくる。

 それは言い換えれば、骨組みのしっかりした青色の枠組・要素に、日系企業としての強味(緑色)を織り込んだ上で、その<青・緑>統合の「型」を使って、諸ローカル(*1)が織り成す多様性を料理していくというアプローチであり、まだら模様のグローバル化を進化させる上で重要な鍵を握る。

 そういう事例としてユニチャームのSAPS経営が挙げられる。SAPSとは、Schedule,  Action, Performance, Scheduleの頭文字をとった略語で、週次で、計画・実行・省察・次の計画というマネジメントサイクルを、すべての社員がまわしていく仕組だ。通常、企業の目標設定・実行・評価のサイクルはせいぜい半年や一年に一度まわすもので、それでも手間がかかるといわれ、手抜きになることもままある。しかしユニチャームはこれを毎週行い、しかも、その中身は通常の目標管理よりも数段濃いもので、OGISMA(Objective, Goal, Issues, Strategies, Measures, Actions)と呼ばれるこのフォーマットは、目的・ゴールはもとより、課題や戦略や測定指標や具体的行動プランまでカバーしている。

 実際の記入例を見ると文字通りのディテイルまで書き込まれているのだが、これを、社長も出席する毎週の会議で顔を見ながら発表し進捗確認を行う。海外からもテレビ会議等の形で参加する。高原社長が唱える行動の「型」がグローバルに着実に普及しつつある。

 ちなみにこの「型」は、基本的に青色の枠組みでありながらも、同時にその細やかさとまじめさにおいて日本人従業員的な緑の要素が必要であり、その意味でハイブリッドである。さまざまな特徴を持つ諸国のローカル人材に対しても、この型が確立していて、その型に沿った動きの実例を見せながら教えていくことができれば、型を浸透させていくことが可能になる。私は7、8年前に中国の同社現地法人でこの仕組みが入りかけるところを見ていて、手間のかかることを嫌う中国の人たちの気質に照らし、SAPSが定着するだろうかといぶかっていたのだが、見事に定着したようだ。

*1 本連載ではローカルには赤色を当てている(第3回参照)。