消費者である市民も立ち上がらなければならない。私は9月のある日曜日、ニューヨークで開催された気候変動に関する大規模なデモ行進に家族と参加した。何十万もの参加者が、声を大にして気候変動対策を訴えた。しかしその中には、反企業・反資本主義を唱える人々も多く含まれていた。彼らの気持ちはわからなくもない。企業がひどい行いをすることもあるし、他のいかなる価値よりも短期的利益の最大化を優先する病理は、社会のみならずビジネス界自体にとっても危険だ。とはいえ、すべての企業を十把一絡げにとらえるのもよくない。

 クリーン経済を推進する事業はいまや数兆ドル規模の産業へと成長し、そこに身を置く企業は気候変動や炭素問題への対策を切望している。しかしそれは、他の大企業にしても同じなのだ。私は日曜日、“ビジネスグループ”(と呼ばせてもらう)に混ざってデモ行進をしたが、そこにはユニリーバやセブンスジェネレーション(家庭用品メーカー)の幹部や社員とともに、独立系発電会社NRGのCEOデイビッド・クレーンの姿もあった。

 NRGは現在、発電のほとんどを石炭に依存している。クレーンは環境問題について活発な発言をしているCEOの1人で、「私は猛烈に怒っている。クリーンエネルギー革命が必要だ」と訴えている。すなわち、私たち1人ひとりがエネルギー問題について考え、太陽光パネルを設置すべきだと主張しているのだ。これは、顧客に行動を促し政府に政策変更を訴える賢いやり方である。なぜならNRGや他のエネルギー関連企業が、よりクリーンで新しいエネルギーの供給に向けた方針を立てやすくなるからだ。

 現行のシステムに異を唱えるのは簡単だが、対策に向けて行動するのは容易ではない。私たちが必要としている第3の転換は、市民と企業が足並みをそろえることだ。地球と社会が発展しない限り、企業は繁栄できない。その逆もまたしかりだ。ビジネス界が生み出す資源やイノベーションなしに、豊かな社会を築くことはできない。

 ビジネス界で起きている転換は重要だ。しかし社会全体が無意味な断絶をつくることなく、力を合わせて行動することも必要である。気候変動は市民の問題でもビジネス界の問題でもなく、すべての人間の問題だ。


HBR.ORG原文:Two Forces Moving Business Closer to Climate Action September 24, 2014

■こちらの記事もおすすめします
日本企業はCSVをどのように捉えるべきか
第1のメガ・トレンド 環境保護主義

 

アンドリュー・ウィンストン(Andrew Winston)
環境戦略のコンサルタント。著書にGreen to Gold(邦訳『グリーン・トゥ・ゴールド』アスペクト、2008年)、Green Recovery、最新刊にThe Big Pivotがある。

 

★最新号のご案内★
特集「CSV経営」(本誌2015年1月号)のご購入はこちら

【特集内容】

世界一の企業を目指すならCSVは当然である
柳井 正ファーストリテイリング 代表取締役会長兼社長 /名和 高司一橋大学大学院 教授
CSVは企業の競争優位につながるか
岡田 正大應義塾大学大学院 教授
GEは事業で社会的課題を解決する
熊谷 昭彦日本GE 代表取締役社長兼CEO
ナイキのCSR活動:取締役会が果たす5つの役割
リン S. ペインハーバード・ビジネス・スクール 教授
ソーシャル・ビジネスというもう一つの選択肢
ムハマド・ユヌスノーベル平和賞受賞者/グラミン銀行 総裁