リアル店舗の小売企業と同様に、eコマース企業のコスト構造と業績はさまざまだ。しかし総じて、eコマースの運営費は多くの人が考えるほど安くない。その利益構造はカタログ通販と同じようなもので(実際に、多くのeコマース事業者はいまだにカタログを利用し続けている)、収益性に優れているわけではない。アマゾンの収益性は他のeコマース企業・事業と似たようなものだが、過去3年間における営業利益率の平均は1.3%にとどまっている。百貨店やディスカウントストア、専門店の利益率は通常6~10%だ。低い利幅は、低い価格か高いコストの産物だ。

「なるほど、アマゾンはたしかに低価格だし、成長に莫大な投資をしているからコストも高いはずだ。利益率が低いのもうなずける」という声もあるだろう。しかし、それですべてを説明できるだろうか。

 価格の比較は単純ではない。一括購入、プロモーションやクーポンの扱い、ロイヤルティ・プログラムの割引の換算などを含め、多くの変数によって結果は複雑になる。そしてアマゾンの価格は、競合他社より一律に低いというわけではない。カンター・リテールの最近の調査によれば、59品目の価格についてウォルマートのスーパーセンター(食料品も売るディスカウントストア)とアマゾンを比較したところ、前者が16%下回っていた。ウィリアム・ブレア&カンパニーによる別の調査は、25ドル以下の品目をアマゾンより約10%安く売るリアル店舗の小売企業を複数特定している。

 アマゾンより高く値付けをしている複数のリアル店舗の事業者から私が聞いた話によれば、最終的な売り値の差を営業利益率に換算すると、アマゾンより1~3%低くなるという。それでもまだ、リアル店舗の利益率のほうが2~8%も高いのだ。

 では、注文処理における経済性はどうだろうか。ここでも、革新的なオムニチャネル企業は不利ではない。eコマース企業は顧客への配送を、高い生産性を持つ大規模で高額な配送センターから行う(最新式の配送施設を建設するには2.5億ドル以上かかる場合もある。大規模小売店舗の建設費の10倍だ)。配送センターの数を抑えれば設備投資は少なくて済むが、それだけ配送コストは上がりスピードも遅くなる。

 一方、オムニチャネルを持つ小売企業は、すでに数百、数千という配送センター、つまり店舗を持っている。人間が棚から注文品を取り出すコストは、自動化された倉庫よりも1ドルほど高いだけだ。そして顧客との距離の近さは、配送コストの節約につながる。特に、店舗での受け取り、迅速な配送、返品などでメリットがある。