3.フィードバックを奨励する文化を築く
 個人や人間関係のレベルで改善できることは多くあるものの、フィードバックのあり方はやはり組織文化に大きく左右される。組織の全員にとってフィードバックが苦にならない文化を醸成する必要があるのだ。そのためのステップをいくつか挙げれば、まずフィードバックの頻度を増やし、組織の日常的な習慣にすること。そしてフィードバックを受ける準備ができていない人に、対話を延期する自由を与えること。また、リーダーが率先して常にフィードバックを求めることで、みずから範を示すことも重要だ。

 フィードバックはもらえるだけありがたい「プレゼント」だ、あるいは「貴重な栄養分」だという声がよく聞かれる。そうした言い回しに異を唱えるつもりはないが、私自身は使うのをやめている。そこにはフィードバックを受け入れることの難しさが反映されていないからだ。これらの言い回しは、フィードバックの対話がもたらすストレスを見失わせるおそれがある。最悪の場合、もはやそのフィードバックから効果的な学びを得られないほど苦痛を覚えていても、耐え忍んで受け入れなければ、という義務感を駆り立ててしまいかねない。神経学者で中学校の教師でもあるジュディ・ウィリスによれば、「ストレスによって情意フィルター(感情的な壁)が高まると、学習プロセスは急停止する」という。

 人が成長するためには、自分が安心できる領域から外へ出なくてはならないと私は強く信じている。その過程で欠かせないのがフィードバックだ。ただしその対話を進めるにあたって必要なことがある。ストレスに対する人間の反応を十分に理解すること、ストレスを抑える対策を準備すること、フィードバックを受け入れて学びを得ることの限界を意識することだ。下手な伝えられ方によって、ただでさえストレスを伴う体験がいっそう苦痛に満ちたものになる――時にこんな事態が起こることは、避けられない。だからこそ、難しいフィードバックを受け入れる準備が必要となる。そして職場の人間関係と文化に、安全と信頼、フィードバックを根づかせる努力が欠かせないのだ。


HBR.ORG原文:Make Getting Feedback Less Stressful August 8, 2014

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エド・バティスタ(Ed Batista)
エグゼクティブ・コーチとしてリーダーの能力開発を支援し、スタンフォード大学経営大学院の講師も務める。