1.リフレームする
 フィードバックを受ける時にはこのSCARFモデルを適用すれば、何が起きているかを理解しやすくなる。これらの力学の存在を意識することで、脅威の感覚を抑えるとよい。これは昔からある心理学のテクニックで、認知的再評価(cognitive reappraisal)という認知行動療法の1つである。簡単にいえば、「リフレーミング」(物事を別の枠組みでとらえ直すこと)だ。スタンフォード大学のジェームズ・グロスおよびレベッカ・レイ、コロンビア大学のケビン・オクスナーといった心理学者たちの研究によれば、リフレーミングにはストレスを低減し、負の感情を制御しやすくする効果がある。

 フィードバックの対話において、受け手としてのあなたは以下のことを念頭に置くとよい。

●「フィードバックを受けるのは怖い」と思うのは、いまでは解明されている神経科学的、心理学的な現象のせいである。怖いという感覚自体は、実際に脅威にさらされていることとイコールではない。

●フィードバックの提供者は必ずしも、自身があなたより上の立場にあると考えているわけでも、優位をひけらかしているわけでもない。ほとんどの場合、提供者の意図はただあなたの成長を助けることなのだ――たとえその伝え方が下手であっても。

●フィードバックの対話を持ちかけられた時に、断ってはならないという義務感を感じたとしよう。それでも、応じるという選択をするのはあなた自身であり、そこにはある程度の自主性が伴っている(完全に強要されているわけではない)。

●与えられたフィードバックが不公平であると感じる場合、あなたが提供者の意図を誤解している可能性もあることを念頭に置いておこう。同時に、提供者もあなたに関して何か誤った認識を持っているのかもしれない。もしそうならば、指摘された振る舞いについて真意を伝え、フィードバック提供者の認識とどう違っているかを示そう。

 ただしリフレーミングは万能ではなく、人がフィードバックを受け入れる能力にも限りがある。受け手はある時点で、相手の発言を理解しきれなくなるかもしれない。心の中で独り言をつぶやき始め、相手の話に集中できなくなる時もある。沸き起こるさまざまな感情の波に飲まれそうになることもあるだろう。これらは、いま受け止められるフィードバックの量が限界に達したという知らせだ。こうした状態に陥ったら、ひとまず対話を停止しよう。そしてここまで聞いたことを反芻し、理解できてから対話を再開するとよい。