加えて、GBS(Global Business Service)を立ち上げた。定型的な業務を標準化し、国境を越えて集約することで、効率化とスケール・メリットを追求することがGBSの狙いだ。人事部門に関しては、給与計算や福利厚生、出張・精算などの業務がこれに該当する。P&Gジャパンの定型業務は、フィリピンなどに置かれたSSC(Shared Service Center)が担っている。

 GBSの主力はIBMのチームである。2003年、P&GはIBMとの間で、世界規模のアウトソーシング契約を結んだ。定型業務の効率化、コアビジネスへの集中を目指すP&G、BPO(Business Process Outsourcing)ビジネスの拡大を図るIBM。そのベクトルの交点でなされた合意であり、両社にとっての戦略的な打ち手である。この決定を受けて、P&GからIBMに移籍した社員も多い。

企業のグローバル化において
業務の標準化は避けられない

 いま、グローバルで展開する日本企業の多くも、グローバル・ビジネスに適した組織体制を模索している。グローバルSSCを例にとれば、すでに定型業務のSSC化、あるいは中国などオフショア拠点への移管を進めている企業も少なくない。ただ、組織全体でこれを徹底するのは容易ではない。

 P&Gジャパンの人事本部長時代、私自身も苦労した。一つの理由は、日本人のサービスレベルに対する要求度の高さである。

 給与計算などの担当者は長年の経験を持つ日本人から、海外SSCの外国人に変わる。サービスレベルが低下するのは、ある程度やむをえない。新人の担当者に、いきなり同じレベルを期待するのは酷というものだ。それまでは同じビルの別フロアに行けば即解決したことでも、いちいち海外とやり取りすることになる。こうしたやり方に各部門のユーザーが慣れるまでには、かなりの時間が必要だ。

 また、業務の標準化という課題も大きい。グローバルなSSC化を進めるうえで、業務の標準化は避けられない。これはGBSだけでなく、GBUやMDOなどすべての組織について言えることだ。

 たとえば、日本法人と韓国法人の福利厚生制度やその申請・承認プロセスなどが大きく違っていれば、SSCの担当者は両方の制度を理解しなければならない。または、別の担当者を当てる必要がある。これでは、以前のやり方と大きな違いはなくなる。GBUやMDOにおいても、国によって仕事のやり方が違えば、国境を越えて異動したマネジャーやディレクターなどが現地流を覚えるために余計な時間がかかってしまうだろう。

 このような意味で、業務の標準化はグローバル企業の条件と言うことができる。2000年代、私は日本流だったP&Gジャパンの仕組みのP&G標準への転換をリードした。それは多岐にわたる取り組みだったが、その中からいくつかのケースを紹介しよう。