しかし、人の知見や判断に対するニーズが完全になくなることはない。スキルが高く経験値が高い従業員は今でも必要だ。だが、最も優秀な人材を真似られるモデルやシステムを使うことで、ゲームのルールは変わった。意思決定プロセスに、次のような変化が起きているのだ。

●基本的に「より良い」判断:専門的な知見を織り込めるので、より正確に、質の高い意思決定が可能
●より一貫している:意思決定結果のばらつきを抑制可能
●より多く処理できる:事業成長に応じて、迅速なリソースの追加投入が可能

 そのうえ、試行錯誤して実験した結果から学ぶという組織力が格段に向上する。すべてのフィードバック実績をモデリングのプロセスに組み込むことで改善を積み重ね、さらに良いモデルができていく。もちろん、そのモデルを使って行った意思決定も同様に良くなっていく。

 このようにアナリティクスを活用することは、決して小さなことではない。意思決定プロセス自体が変化していくことに気づくはずである。その際は、会社としてツールの技術水準を高める必要があるだけではなく、社員がその新たなツールを使いこなせるようになる必要がある。人的阻害要因を排除していけば、この有望な試みが意思決定のツールとなるだろう。

 我々は膨大な研究を重ねた経験上、意思決定が非常に重要であることを知っている。より早く質の高い意思決定を下し、効果的に実行に移せる企業は、競合他社に比して財務的にも高い業績をあげている。解析ツールの活用に本腰を入れれば、企業はより早く、よい良い意思決定が可能となり(特に中規模な意思決定に対して)、企業業績も改善しうるはずである。


HBR.org原文:How to Clone Your Best Decision-Makers September 9, 2014

*次回は2月27日(金)公開予定。

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ベイン・アンド・カンパニー(Bain & Company)
1973年に創設。世界33ヶ国に51拠点のネットワーク、約5700名を擁する世界有数の戦略コンサルティングファーム。クライアントとの共同プロジェクトを通じた結果主義へのこだわりをコンサルティングの信条としており、結果主義の実現のために、高度なプロフェッショナリズムを追求するのみならず、きわめて緊密なグローバル・チームワーク・カルチャーを特徴としている。