超長期プロジェクトではチームの新陳代謝が必要

――宇宙飛行士はもちろん、交信担当者とのコミュニケーションも重要ですね。

 交信担当はフライトディレクタのすぐ横にいて、言葉として伝えられた情報だけでなく、フライトディレクタが手元で何を見て、どのような判断を下しているかについても理解して、伝えることが期待されています。交信担当と宇宙飛行士の会話はインターネットでも一部公開されるので、その意味での緊張感もありますね。

 余談ですが、交信担当のなかには、伝達のプロとして“かっこよく”話さなければならないと考えている人もいます。決めゼリフや、時にはジョークも決めようとするのですが、宇宙飛行士に「よくわからないからもう1回言って」と台無しにされてしょげ返っているシーンも見かけます。時間がなく「ジョークはいらないから、さっさと用件だけ伝えてくれ」とつれない対応をされた人もいました(笑)。

――苦楽をともにしたメンバーと働くことで、チームとしての成熟度は上がっていくと思います。ただし、メンバーが固定されてしまうと、チームが活性化されないデメリットがあると思います。

 おっしゃる通りで、ずっと同じメンバーでいては、ただひたすら平均年齢が上がるのを待つだけになってしまいます。ISSは、これからさまざまな発展を目指して活動していくプロジェクトです。「こうのとり」も、さらに先のミッションを見据えています。立ち上げメンバーでずっとやっていくことは理想かもしれませんが、やはりそこは変わっていかなければなりません。先を見据えて次の世代を育てておく必要があるのです。

「きぼう」の勤務は3交代制で、8時から16時、16時から0時、0時から翌朝8時までというシフトです。宇宙飛行士は世界標準時をベースに活動しているので、日本時間の17時ごろからその日の仕事が始まります。そこからが集中しなければならない時間帯です。それは夜中まで続くため、そのシフトに入った人の負担は大きくなります。

 夜中のシフトに入るには、それにあわせて昼間に睡眠をとらなくてはなりません。生活リズムは乱れますし、子どもから「どうしてお父さんはこんな時間に寝ているの」と聞かれたという話もありました。年齢を重ねてからも同じ判断力を保って続けるためには、相当な努力が必要な仕事です。

 チームとして高い水準でパフォーマンスができるようにするためにも、若手に経験を積んでもらい、次のリーダーに育てることが私の役割だと思います。