4.ピアプレッシャー(仲間からの圧力)を活用する
 社会的比較理論が示唆するように、人は親しい他者を見て、許容される行動についての指針を得ている。これらの仲間(ピア)は私たちに期待を設定したり、恥じ入らせたり、あるいは手本となったりする。ある銀行員が上司から、自己中心的な行動を抑えてもっと協調性を示す必要があると言われた。チームのメンバーたちが互いを観察し、自己中心的な発言を含む不適切な言動を指摘し合ったところ、このピアプレッシャーは効果的に作用した。これはオンラインで形成されるグループでも有効だ。仲間同士で期待を設定し圧力をかけ合うよう促してみよう。フェイスブックの友達、あるいは社内のネットワーク・ツールを、自分の行動のチェックに利用するのもよい。

5.初期採用者とインフルエンサーを引き込み、集団を動かす
 集団のなかで最初に1人だけが踊っており、次第に参加者が増えていく様子をとらえた次の動画を見てほしい。

 もしあなたがここにいたら、いつ踊りに加わるだろう――2人目か、それとも中盤あたり、あるいは最後だろうか。ほとんどの人は、中盤で劇的に変化が広がる「ティッピング・ポイント」(転換点)で加わるはずだ。新しい行動様式が広まる過程は通常、普及曲線(初期採用者、安全志向の追随者、後期採用者)をたどる。

 エベレット・ロジャーズが唱えた普及に関する理論によれば、転換のプロセスは偶然に起こるものではなく、カギとなるインフルエンサーが作用しているという。このような人物は往々にして上級マネジャーではなく、多くの人が非公式に指針を求めるようなマネジャーである。まずは初期採用者を数人引き込み、次にインフルエンサーを見つけて説得しよう。その後は、じっくり構えて変化が広がるのを見守っていればよい。

6.状況に少しひねりを加える
 社員食堂で従業員にもっとヘルシーな食事を摂らせるには、どうすればよいだろうか。健康的な食事について教育を施すこともできるが、人の流れを物理的に変えるという方法もある。グーグルが実施したのはまさにこれだ(英語記事)。人は最初に目にしたものを皿に取る傾向がある――この研究結果をヒントに、グーグルは社員食堂の入り口付近にサラダバーを設置した。

 この種のアプローチは、ダニエル・カーネマンなどが唱え近年注目を浴びている行動決定理論に基づいている。すなわち、人の行動は周囲の状況に少し手を加えることで変わるというものだ。「サラダを食べなさい!」などと直接的に言うのではなく、間接的に選択を誘導することによって、人を少しずつ動かそう。たとえば初期設定を変える、物事を利得ではなく損失の面から見せる、事前に働きかけておく、などの方法もある。