なぜ日本企業ではIMCが実現できないのか?

 IMC3.0を実現するためには、プラットフォームとしてのDMPの設計が必須となりますが、ビックデータの時代を迎え、日本企業もデータの統合の必要性を理解し、プライベートDMPの構築に着手しはじめています。我々も、いくつかのプロジェクトに参画していますが、多くの企業のDMPプロジェクトは問題を抱えているように見えます。

 DMPの構築においては、どのような種類のデータをどこからどうやって集めるかに主眼が置かれがちですが、重要なのはむしろそれらのデータを、何の目的でどのような成果を得るために活用するかなのです。

 そのためにはIMC1.0のコミュニケーション技法の統合のステージはもとより、社内外すべてのマーケティング活動のオペレーションレベルの統合であるIMC2.0のステージに到達している必要があります。そして企業としてのIMCの全体戦略なくしては、データの統合の目的も意義も議論することさえもできないでしょう。

 多くの日本企業はDMP構築の必要性を感じ着手を始めながらも、本質的なマーケティングの統合のステップを経ていないことから、まずはデータの集積をするというステージの後の活用スコープが描けず、スタックしている例が少なくないのです。

重要なのは「CMOの存在」ではなく「CMOの機能」

 もうひとつ、日本企業がIMCを実現できない理由としてよく語られるのが、縦割りの組織とゼネラリスト育成志向の人事ローテーションです。

 本格的にIMC3.0を導入しデータドリブンなマーケティングを実行するには、社内を俯瞰し、全体最適の観点から最終的な判断を下せるCMOを早急に日本企業も導入すべきであるという問題提起が、さまざまな場面で熱く論議されています。

 縦割りの組織構造が一般的な日本企業において、CMOというポジションを新たに設置するためには、本格的に組織再編に取り組む必要があります。しかし、縦割りで権限化された組織に慣れ切った日本企業において、中央集権的な意思決定をさせる組織を再構築するには、思いのほか社内の抵抗も多く難易度が高いといえます。ここでマーケティングのリストラクチャリング(再構築)が行き詰まっていては、市場や競合するグローバル企業の変化のスピードに追いついていけません。今求められているのは高速にPDCAをまわして意思決定することのできる「仕組み」なのです。

 そのためには、まずは早急に、部門横断型のプロジェクト・チームをつくるという方法を取るべきだと私は考えます。目的は、オペレーションを統合し、全体最適化を実現していくことなので、CMOという存在にあえてこだわる必要はありません。ただし、プロジェクト・チーム型の場合でも、強力な権限を委譲されたチーム・リーダーは必要です。

 本来マーケティングは、企画、調査、商品開発、コミュニケーション、セールスなど事業全般にまたがるものです。そのためには、全体の権限を任された人が統括してこれらの部署に指示を出していく必要があります。