バリューアクト・キャピタルは、サンフランシスコを拠点に110億ドル以上の資産を運用するヘッジファンドだ。投資家から過小評価されているか、十分に理解されていない企業に的を絞って投資している。株式だけでなく取締役の席も望んだ同社は、モトローラ・ソリューションズの株式約6%を取得し、後に持ち株比率を10%に高める。

 バリューアクトから取締役の席を要求されたブラウンは驚いた。前のアクティビストが去ったばかりなのに、新たな到来を迎えるとは予期していなかったのだ。だが、ブラウンはその提案を前向きに検討し、彼らが取締役会でどれだけ貢献してくれるのかを考えた。彼らは戦略に関して自分たちと足並みをそろえ、自社の文化に馴染むだろうか。どの取締役にも経営陣に寄与する専門知識と経験が求められるが、この投資家たちはそれらを提供してくれるだろうか――。

 ブラウンは、取締役の候補者に対する適性評価を実施した。バリューアクトのパートナーであるブラッドリー・E・シンガーは、価値創造において素晴らしい実績を持つ魅力的な人材に映った。過去に2つの上場企業(ディスカバリー・コミュニケーションズとアメリカン・タワー・コーポレーション)でCFO(最高財務責任者)を歴任しており、資本配分に関する財務的な知見を提供してくれると期待できたのだ。こうして、シンガーは2012年10月に取締役に就任した。モトローラ・ソリューションズの株価は、2010年末の取引開始から3年間で約90%も上昇した。これはS&P500指数のおよそ2倍の上昇率である。

 ブラウンは、「取締役会に迎えたアクティビストたちは総じて、業績によい影響を与えてくれた」と報告している。以来、アクティビストが門前に迫っている企業のリーダーたちが、ブラウンにアドバイスを求めてくるようになったのは自然な流れである。相談者たちにブラウンは、2つの問いを投げかける。

1.企業の戦略とアクティビストの意図は合致しているか?

2.戦略と意図が合致している場合、アクティビストは取締役会が必要としている専門知識を提供してくれるか? また、アクティビストのやり方は取締役会の文化に馴染むか?

 物言う投資家は必ずしも、企業を短期間で搾取したり、取締役会に打撃を与えたりする存在ではない。そのことは、モトローラとモトローラ・ソリューションズにおけるグレッグ・ブラウンの経験で実証済みである。アクティビストとの関係は、企業によって千差万別だとブラウンは忠告する。しかし彼の豊富な経験を踏まえると、十分な人物調査、戦略との適合性、統率の取れた取締役会、という条件がそろっていれば、アクティビストは有益となる。つまり、プライベート・エクイティ・ファンドの人間が出資先の取締役会に加わる場合と同じように機能しうるのだ。

 取締役となったアクティビストは、経営に介入して利益を得るだけではない。取締役会を単なる形式的なものから、株主として経営を監視する存在、ひいては企業を導く存在へと変革することで経営に貢献しているのだ。


HBR.ORG原文:An Activist Investor Lands in Your Boardroom — Now What? January 21, 2014

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マイケル・ユシーム(Michael Useem)
ペンシルバニア大学ウォートン・スクールの経営学教授。リーダーシップおよび変革マネジメント・センターのディレクター。ラム・チャラン、デニス・キャリーとの共著にBoards That Lead: When to Take Charge, When to Partner, and When to Stay Out of the Wayがある。

デニス・キャリー(Dennis Carey)
コーン・フェリー・インターナショナルの副会長。CEOや取締役の採用を専門とする。ラム・チャラン、マイケル・ユシームとの共著にBoards That Lead: When to Take Charge, When to Partner, and When to Stay Out of the Wayがある。