レバレッジレベルを引き上げよ

 内に閉じずに、外の力をもっとうまく活用するべきです。トヨタやLIXILは優れた技術や市場を持つ会社に投資をしましたが、外部に置いたまま組んで、一緒に市場や事業モデルを作る方法もあります。

 それはハードルが高いと言うのならば、自分たちの良さや、生かし切れていない技術や資産の新しい活用の可能性を外から発見してもらえばいいのです。自社だけであれこれ模索するよりも、拡業につながる確率ははるかに高まります。

 プラットフォームを構築しようなどと意気込む必要もありません。持っている側にうまく見つけてもらえばそれでいいのです。自分たちにしかない価値があれば、主役にはならなくてもエコシステムの一部になることはできます。

 すると、投入した技術や価値の、何十倍、何百倍ものリターンが得られるようになります。何もかも抱え込む自前主義の経営では、まず実現できない身の丈以上の成長です。こうしたレバレッジを効かせた経営は、成長角度とスピードをグローバルの水準に合わせる上では、欠くことのできないものです。

 東レはユニクロと組むことで、衣料繊維事業を急拡大させました。また、炭素繊維事業では、ボーイングと独占供給契約を結んで大ブレークしました。顧客と密着するユニクロやボーイングが東レの技術を必要とし、濃密なパートナーシップが組まれたのです。

 一見するとユニクロの商品であり、ボーイングの飛行機であるのですが、中に東レが入っていることが価値を高めている。いわゆるインテル・インサイドのモデルです。自転車部品のシマノも、部品メーカーでありながら世界的にブランドとして認知されています。高い技術を持つ日本企業、中でも素材メーカーなどにとっては、このビジネスモデルは自分たちだけでは実現できない異次元の成長を遂げる上で極めて有効です。

 ただし、注意しなければならないのは、東レもシマノも既存の技術をただ提供したのではありません。できることや、持っている資産を出し合うだけのオープン・イノベーションからは、本当に革新的な製品やサービスは生まれません。異質性を取り込み、知恵を出し合って新しい価値を「協創」したからこそ拡業が生まれ、スケールしたのです。