若田光一に学ぶコミュニケーションの重要性

――油井さんがリーダーシップ、フォロワーシップを学ぶなかで、最も影響を受けたのはどなたですか。

 自衛隊で言えば、かつて所属した飛行隊の隊長です。それから、スタイルの違いこそあるものの、それぞれから学ぶべきところはたくさんありました。宇宙飛行士では、間違いなく若田光一さんです。各国の宇宙飛行士たちからも絶大な信頼を寄せられていて、知識も経験も豊富です。何より雰囲気をつくることに長けています。

 和、思いやり、気配りなど若田さんがミッションで使う言葉は、リーダーとして、フォロワーとして、最高の仕事を成し遂げた人だけが選ぶ言葉だと思います。実際、それらがないと仕事はうまく回っていきません。これは、日本人がほかの国の人に比べて優れている点だと感じています。若田さんは、日本人リーダーとしての可能性を示してくれました。

――若田さんをはじめ、宇宙航空研究開発機構(JAXA)のみなさんはそれぞれの分野のスペシャリストの集団で、個性もあります。その個性を一つのチームとしてまとめ上げるとき、どのようなリーダーシップが必要になるのでしょうか。

 そこはリーダーが最も気を遣うところでしょう。私は、リーダーとチームのメンバー、あるいはメンバー同士がコミュニケーションを取りやすい環境をつくってあげられるかどうかに尽きると感じています。

 若田さんもよくおっしゃっていますが、気を遣って言いたいことが言えなくなる状況は最悪です。そこから誤解が生まれ、ぎくしゃくして仕事がやりにくくなってしまいます。言いやすい環境をつくることに関しては、若田さん以上の人はいないとも思います。いろいろとお忙しいなか、私も時間を見つけては相談させてもらいました。今後、若田さんに続いて第二、第三の日本人の国際宇宙ステーション(ISS)・コマンダー(船長)が輩出されるよう、今回の私のミッションでも注意すべきことを教えていただいたりしています。

 私たち宇宙飛行士をサポートしてくれるJAXAのリーダーたちも、そのような面で秀でた人たちだと思います。若田さんは、JAXAのスタッフの粋を集めたようなリーダーなのかもしれませんね。

 私も、2015年6月頃からの長期滞在では、さらなる経験を積み、今後のISSやその後の有人宇宙開発計画においても、若田さんのようなリーダーシップが発揮できるような人物を目指して頑張りたいと思います。