ヤフーは現金10億ドルと、当時は時価総額7億ドルであったヤフー中国の資産を譲渡し(ヤフーブランドはそのまま使用)、全体で40億ドル強の提携になった。これは魅力的なオファーであり、我々の企業価値を高めることにもつながった。2年前、我々が3721にもたらした1億2000万ドルの買収額と貢献に比べれば、なおさらである。

 ヤフー中国の2005年の収益は、約4000万ドルとなる見込みだった。しかし、この年のアリババはコンシューマ事業だけでその2倍以上の収益を達成しようとしていた。つまり、アリババには我々の事業のおよそ2倍の価値があったわけだ。しかし当時、両社の提携は大きな賭けのように思われていた。アリババの資産価値の半分以上、つまり20億ドル以上はタオバオとアリペイの事業に起因していたが、どちらも赤字であり、しかも向こう数年間は無料でサービスを提供すると発表済みだったからだ。

 しかし我々は、2005年8月上旬にアリババとの提携を発表した。そのきっかけとなった訪中から3カ月も経っていなかった。

ヤフーが学んだ重要な教訓

 振り返ってみると、アリババとの提携が最終的に中国市場で価値をもたらすことになった背景には、主に3つの要因が挙げられる。

 最も大きな成功要因は、「早めに失敗した」ことだろう。早い段階で間違いに気づき、市場に進出するためのさまざまな新しいやり方を、粘り強く試したのだ。

 新規市場の開拓には、継続的な学習、そして実験する意欲が不可欠だ。私は多くの格言を残している伝説的実業家、チャーリー・マンガーとともにコストコとバークシャー・ハザウェイの取締役会に加わっている。彼いわく、「特に頭はよくないが“学習マシン”のような人物が、成功を収める姿を何度も見てきた」という。「毎日眠りにつく時に、その日の朝よりも少しだけ賢くなっている」ような人だ。広い視野の持ち主であるマンガーはこう述べる。「文明は、高度な発明によって進歩する。人間は、学習のやり方を学んだ時に進歩する。私の長い人生において、継続的な学習以上に役に立ったものはない」。これは素晴らしい考え方だと思う。

 中国でのヤフーの成功に寄与した2つ目の要因は、管理統制の権限を譲り渡すべきだと気づいたことである。これは多くの企業のやり方、そして我々の初期のやり方とは相反する。しかし中国のメディアやインターネット産業でビジネスをする際には、これがきわめて重要なポイントになる。

 我々が最も「管理的」なアプローチをしたのは、中国に進出した初期の立ち上げ時期だった。ヤフーがサービスとチームを管理し、財務や法務などのコンプライアンス機能も中央集権化した。採用をヤフーの従業員に任せ、マネジャー層もヤフー社内から起用した。こうすれば本社と緊密に連絡が取り合えるし、現場にノウハウを伝えやすくなる。地理的、文化的に大きな隔たりがあることを考慮すると、新規市場に参入するにはこれが無難な方法に思えたのだ。