お客さまと対峙する部署を組織の中心に

藤田:先ほどお話に挙がった「スペシャリストか、ジェネラリストか」という点は、昨日の教授のセッションの後に我々出席者の間でも議論になったんです。ジェネラリストの視点を持ちつつも、スペシャリストの能力が不要だというわけではないと思います。しかしそれなら「CMOはスーパースターでないといけないのか?」という疑問が頭をもたげました。

ドン・シュルツ氏
ノースウェスタン大学 IMC名誉教授 Donald Schullz(ドン・シュルツ)氏 P.コトラー、D.アーカーと並ぶ世界の3大マーケティング巨匠の1人といわれる。統合マーケティングの提唱者であり、また、3M、ビザ・インターナショナルなど数多くのグローバル企業でのコンサルティングの実績を持つ。自ら経営するコンサルティング企業のAgora社CEOでもある。主な著書に『IMC The next generation : Five steps for delivering value and measuring financial returns』(2003)などがある。

 そもそも日本の企業は縦割り組織で“サイロ化”が進んでおり、大企業に限っても5%以下しかCMOという存在がいないんです。マネジメント能力の高いマーケティングエリートがおらず、また従来のマーケティングによる小さな商品の差異化では勝てなくなってきている時代に、どうやっていろいろな領域の統合を深めればいいのでしょうか?

シュルツ:それはとても興味深い指摘ですね。私のセッション後のパーティーで、日本のある大手企業のマーケターの方が、私に自社の組織図を見せてくれました。それは、マーケティング部門を中心にし、周りに他の部門が配置されていたんですね。そこで私は「えっ、これは間違っていますよ?」とお伝えしたところ、彼も「えっ?!」と驚いていました。

 これからのビジネスは、マーケティングが中心ではなく、カスタマーが中心であるべきです。ですから、真ん中にはマーケティングではなく、お客さまを理解する部門や機能が中心にあるべきだと、そう入れ替えてくださいと申し上げました。ですからCMOがどうのというよりも、まずお客さまを中心に考え、お客さまとの関係を踏まえて周囲に必要な機能を配置する。その上でコミュニケーションを統合していく必要があるのです。

藤田:なるほど。ではそうなったとき、CMOがいない企業では、最終的な決断を誰がすべきでしょうか?

シュルツ:それはやはり、CEOでしょう。もちろん、マーケティングに特化したトレーングを積んでいるCMOは必要だと思いますが、CMOがいても、その提案を最終的に承認するのはCEOになると思います。

※次回は11月5日(水)公開予定。

 

【連載バックナンバー】
第1回:IMC3.0の時代に必要なのはデータマネジメント