スピークアップ(意見を声に出す)できる組織に

――信頼ベースの協力を実践するときに、難しい点はありますか。

 最も高いハードルになるのは「シェアするものなんか何もない」と考えてしまうことかもしれません。異なる事業部の間で何をシェアするのか、私のビジネスとあなたのビジネスは関係ないではないか、そうした固定観念が邪魔になるのです。

 現代はビジネスが複雑化し、いくつかの事業部が協力しなければ進められなくなってきています。にもかかわらず、別の事業部が何をやっているか、別の事業部の人材がどのようなスキルや知恵を持っているか知らないということが起こっています。それを知っておくことは非常に重要で、手始めに「今、組織横断で取り組まなければならないビジネスとは何か」というテーマで議論をしてみるのもいいかもしれません。

 シェアするという意味では、BCGの「スピークアップせよ」という伝統が参考になるかもしれません。これは、自分に与えられた責任を全うするだけではなく、他の人がやっていることに意味のある助言をしてはじめて価値が出るという意味です。

 もちろん、隣の部署の問題点や改善点を指摘するのは簡単なことではありません。下手をするとあら探ししていると勘違いされることもあります。あるいは問題が起こったとき、お互いに痛い腹を探られないように、傷を舐め合うような事態も起きかねません。何を協働しなければならないか、何が全体最適なのか。そのことを考えられるようになることが求められています。

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信頼のネットワーク作りは「まずは上位20%から始めていくとよいでしょう」と重竹氏。

 まずはしかるべきポジションに就いていて、しかるべき能力やスキルを備えた人が協働するところから始めるとよいと思います。全体の上位20パーセントに当たる影響力を持った層が協働すれば、60パーセントの人はそれを見習って協働し始めるからです。こうして全体の80パーセントが信頼をベースに協働する文化になれば、組織は強靭になるはずです。