ビジネスの目的は、利益を上げることだけではない

●トリー・バーチ(トリー バーチ創業者) バブソン・カレッジでの講演

「私が起業したかった理由の1つは、基金をつくることでした。社会的責任は、常に私のビジネスプランの一部でした。そのことは必ずしも周囲から肯定的に受け止められず、『社会的責任とビジネスという言葉を、けっして同じ文脈で語るべきではない』と言う人さえいました。そういう助言によって、私の決意はますます固くなりました。

 2009年に当社は、女性起業家とその家族を経済的に支援する基金を設立しました。この取り組みは私個人のみならず、当社の顧客や従業員、ビジネス・パートナー、そして社会への還元や女性の支援を重視している人々すべてにとって、このうえなく意義深いものとなっています」

サルマン・カーン (カーン・アカデミー創設者) ハーバード・ビジネススクールでの講演

「こう考えてください。企業は利益を最大化するツールではない。利益とは、世界中の幸福を最大化することで生じる副産物です。そしてお金は成功を示すわかりやすい指標ではなく、世界をよりよい場所にするためのリソースを動かすものである、と。あなたたちはハリケーンの目の中、あるいは人類史で最も重要な時代の1つにいるのです。あなたが紀元前5世紀、黄金時代のアテネに生きていたら、作物の収穫量のことだけを気にしていたでしょうか。ルネッサンスが花開いていた15世紀か16世紀のフィレンツェにいたら、次の取引のことだけを考えて生きていたでしょうか。アメリカの独立が宣言された1776年のフィラデルフィアにあなたが生きていたら、自分の利益のことだけを気にかけていたでしょうか。

 きっと1000年後の人々は、私たちがいま生きているこの時代を、ルネッサンスなどと同じように重要な時代として憧れとともに思いをはせるでしょう。バラバラに分断され、粗野で原始的でさえあった人類が、複数の惑星にまたがり、つながり合い、高度な知覚力を持つ存在になった時代として。人類が目覚めた時として記憶されるのです。皆さんの孫の世代、それどころか医学的な可能性を考えれば、4世代後のやしゃごまでが、皆さんにこう尋ねることでしょう。『文明の夜明けの時代に生きるのはどんな感じだったの? そこでどんな貢献をしたの?』と」

(HBRのカーン氏インタビュー記事〈未訳〉はこちら

世界を変えるカギは、多様性に富む新世代のリーダーたちが握っている

●メアリー・バーラ(GMのCEO) ミシガン大学での講演

「アメリカの歴史上、ミレニアル世代(1980年前後~1990年代生まれ)は人口が最も多く、最も裕福で、最もテクノロジーに精通していて、ロジカルな考え方を持っていると、先ほど私は話しました。さらに言えば、あなたたちは最も受容力に富み、楽観的に物事を考えられる世代です。このような皆さんの資質を、かつてなく可能になった情報へのアクセス、そして現在のグローバルな通信網と組み合わせ、古い慣習を打ち破ってください。皆さんは歴史上のどの世代よりも、不正を暴いて是正し、時代遅れの前提を見直し、物事を根底から変える力を持っています。さらに覚えておいてほしいのは、たしかにこの世の中には間違っていることがたくさんあるけれど、正しいこともたくさんあるということです。何もかも変える必要があるわけではなく、守らねばならないものもあります。世の中を変えることと同じように、守るべきものを守るのも、重要でやりがいがあり、報われる仕事なのです」

●ショーン・コムズ(起業家、ラッパー、音楽プロデューサー) ハワード大学での講演

「皆さんの世代には、私たちが想像すらできない方法で世界を変える力が与えられています。私たちはまさに大きな転換期、つまり主役交代の時期を迎えています。政治家、起業家、宗教指導者たちは若返っています。この世代のリーダーたちはより多様化し、つながり合っています。皆さんは文化の境界線を越え、性別の壁を壊しています。皆さんには次世代のオプラ・ウィンフリーにも、オバマにも、また私のような人間にもなってほしくありません。どうかあなたらしさを貫いてください」


HBR.ORG原文:Business Wisdom from the Commencement Speakers of 2014 June 12, 2014

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ウォルター・フリック(Walter Frick)
『ハーバード・ビジネス・レビュー』のアソシエート・エディター。