●ジャネット・イエレン(アメリカ連邦準備制度理事会議長) ニューヨーク大学での講演

「成功は主に"能力"と呼ばれるもの次第で決まるという、残念な神話があります。しかし研究によれば、能力をいくらうまく測定できたとしても、それは学業や仕事の成果を約束するわけではありません。心理学者のアンジェラ・リー・ダックワースによれば、本当に成功に欠かせないものは、彼女が言うところの"不屈の精神"(grit)という資質です。つまり長期的な目標に向かって、揺るぎない責任感を持って力を尽くし、その合間に訪れる挫折にも耐えることです。

 不屈の精神について私が特に重要だと考える要素は、必要であれば毅然として反論することも辞さない覚悟です。そんな状況は頻繁には起こらないかもしれません。しかしだれの人生にも、自分が信じることのために立ち上がる勇気を持つことがとても重要になる、決定的な瞬間があります。

 私の前任者であるベン・バーナンキ氏は、特に金融危機の脅威に対応するなかでそんな勇気を発揮しました。金融システムを安定させ経済成長を回復させるために、前例のない大胆さと規模で勇気ある行動を取ったのです。絶え間なく批判にさらされ、脅迫も受けました。対応を間違えれば後世の歴史に厳しい審判を下されることも明らかでした。しかしバーナンキ氏は、みずからが正しいと信じ必要だと信じるもののために立ち向かいました。議長という職責をまっとうするうえで、彼の知性と知識はたしかに役立ったことでしょう。しかし彼の不屈の精神、そして毅然として立ち向かう覚悟も同じくらい重要だったのです。皆さんがあれほど大きな困難に直面しないことを願うばかりです。とはいえ、自分が信じるもののために立ち上がることで物事が大きく変わる、そんな人生の局面が必ずやって来るはずです」

真のリーダーシップは、命令を下すことではない

●ジム・ホワイトハースト(レッドハットCEO) キャンベル大学ロースクールでの講演

「近道をして楽をするリーダーが多すぎるのではと、私は思っています。つまり、『私がやれと言ったんだから、その通りにしろ』と要求するだけのリーダーです。これこそ、ともに働く人の権限を奪う最も簡単なやり方です。皆さんはこれから、学位や肩書きに基づく職権を持つことになります。しかし、その権限の行使にはくれぐれも慎重になってください。周りの人々と絆をつくり、組織の戦略や目的を理解させる努力をしてください。そうすれば、皆さん自身がいっそう有能になれるばかりでなく、皆さんに鼓舞された周りの人たちが素晴らしい成果をもたらしてくれるでしょう」

真のリーダーシップは、他人の話に耳を傾けること

●エレン・クルマン(デュポンCEO) マサチューセッツ工科大学での講演

「私がこれまでのキャリアを通じて学ばねばならなかったことのうち、最も難しかったのは、自分がいつも正しいとは限らないと知ることです。私は他人の話を聞く力を養わなければなりませんでした。話を聞くことは、常に同意を意味するわけではありません。異議を唱え続けてもよいのです。しかし、十分な時間を割いて相手の話を聞けば、しかるべき根拠に基づく反論を形成できます。すると対立は理解へとつながり、より肝心なことですが、そこから新しいアイデアが生まれます。聞く力は、特に科学者やエンジニアにとって重要なスキルになります。それによって、しばしば最大の盲点が明らかになるからです。一見素晴らしいと思える科学や高い将来性が見込まれるテクノロジーでも、まったく別の視点から見ている人々にとってはそう映らないこともあるのです」