創造性と生産性。異なる方向性は共存できるか

 企業はこれまで営んできた事業があります。鉄道会社は毎日ダイヤ通りに電車を安全に走らせることが最大のミッションになります。正確に安全に、さらに少しでも効率的に運行できればそれだけ生産性が上がり、利益が増えます。企業にとって事業を「継続」することは使命であり、その事業をいかに効率的に運営するかが経営の最大の課題です。鉄道会社に人々が期待するのは、考えもしなかったような斬新な事業ではなく、日々の運行が守られていることでしょう。

 一方で、企業には変化が求められます。どれだけ素晴らしい事業でも外部環境の変化とともに競争力を失います。また今日のような環境変化の激しい時代にあっては、常に変化することが求められます。とはいえ、事業の継続を無視するわけではありません。鉄道会社も日々変化を求められます。既存の事業を継続しながら新たなことに挑戦するという、相反することを両立させなければいけません。ここでも生産性と創造性の相克があります。

 特集を企画する段階で、創造性と生産性の両立とは、企業経営の根源的課題なのではないかと思えてきました。数値化できる生産性と数値化しにくい創造性、計画できる生産性と計画できない創造性。まるで水と油を混ぜようとするかのようなものです。

 ただし、マネジメントの課題とは、すべて「ジレンマの解消」ではないでしょうか。ブランド価値を毀損せずに値下げをする、グローバルな統一化とローカルな最適化を両立する、事業部門とスタッフ部門を統合した組織をつくる、などどれもジレンマの解消が課題です。

 日々の仕事の延長で考えた特集企画が、経営の根幹にかかわるテーマに入り込んでしまいました。皆様の仕事に当てはめて読んでいただければ幸いです。

(編集長・岩佐文夫)