グループ・ガバナンスを
成長の礎に

 二つの基調講演を終え、引き続いて後半のセッションが始まった。

 まず、会場の参加者に質問を投げかけて双方向でやり取りするインタラクティブ・セッションが行われた。

 業績情報に関する質問では、情報が上がってくるタイミングやKPIの適正性に課題意識を持つCFOが多かった。また、メガトレンド情報については、ほとんどのCFOが少なくとも重要性を認識しているとの回答を寄せた。

 デロイト トーマツ コンサルティングの日置圭介氏は「経営においては超長期と超短期のバランス、または両立が重要。この両面で情報体系を整理すべき」と指摘。また、監査法人トーマツの大山剛氏は、「変化の激しい時代、リスク・シナリオのほとんどはグローバル発のものです。欧米の金利や中国経済の動向などへのリスク評価も必要です」と述べた。

 最後に、モデレータを務めたデロイト トーマツ コンサルティングの萩倉亘氏がこう締めくくった。

「メガトレンドからもう一歩踏み込んで『自分たちはどんな世界をつくりたいのか』を議論し、そのために何をすべきかを考えることも重要です」

 最後のセッションは、パネルディスカッションである。テーマは「コーポレート・ガバナンスの潮流」。昨今のガバナンスを巡る論点を整理すると共に、グループ・ガバナンスにおけるCFOの役割が話し合われた。

早稲田大学 商学学術院 教授
早稲田大学高等研究所 所長
宮島英昭氏

「安倍政権では、『成長のためのガバナンス』という視点が提示されています。ガバナンスが成長をサポートする側面を持つのは確か。自社のガバナンスをあらためて考える好機だと思います」と語るのは、早稲田大学商学学術院教授の宮島英昭氏である。

 参加した3人の財務担当(以下CFO)が在籍する3社は、いずれもいち早く社外取締役を導入するなど、日本のガバナンス先進企業と目されている。ただ、海外の投資家の視点からは、不十分と見られることもあるようだ。

 たとえば、ビジネスのグローバル化を受けて、機関投資家などから「外国人取締役が必要」といった指摘を受けることもあるという。ボードの多様性は、多くの日本企業にとっての課題だ。

 また、株主との関係も大きなテーマ。この点で、大きな影響があると見られているのは機関投資家向けの指針、スチュワードシップ・コードだ。日本でも議論が進められているが、宮島氏はその狙いを「機関投資家と投資対象の企業との間で責任ある対話を進めること」と解説。さらに、こう続ける。

「両者が緊張感を持って建設的関係を構築する第一歩になるでしょう。また、そうしなければなりません」