変革における付帯条件

 最後に、このような変革をまだら組織で実施する場合の留意点について述べておきたい。それらは次の3つの付帯条件である。

1.統合条件

 変革の方向性のところで、まだら模様という性格に照らし、変革対象の組織を機能別に経営・本社・事業という大きなところから職務・役割まで切り分けた上で、各部分をどのように変革するかという方向性を設定すると述べた。しかし、その方向性にそった変革が首尾よくうまくいったとしても、それだけでは部分最適にとどまり、部分同士がうまく統合されている保障はない。部分の色の塗り替えをやりつつ、同時に、統合を確保することが必要だ。これが統合条件である。サッカーの例でいえば、個々のプレイヤーが特定の役割を身に付けつつ、それがチーム全体の動きと調和するようにすることが統合条件になる。


2.移行効率条件

 緑の設計図から青の設計図に切り替えることが、まだら模様の行動変革においてはほぼ必須だが、両方式の間にまったく関連性がなければ、変革にあたりゼロから青の設計図を描き、それにそった動きをゼロから学ぶことになってしまう。これではいかにも非効率だ。できれば、両設計図を構成する諸項目の間で対応関係をつけて、現在持っているものをベースにしてどこをどうかえればよいかが、その対応関係が見えるようにしたい。そうなれば移行の効率をある程度担保できるだろう。

 さらに望ましいのは、変革後の設計図上に変革前の設計図を重ねて描き、変革前から変革後に向けてのスムーズな移行を描けるようにすることだ。そのようにできれば、変革時にありがちな業績停滞や業績低下を防ぐ可能性も高まることにもつながるだろう。いわば、車を走らせながら(業績維持)タイヤを取り替える(変革する)ための設計図を描くのである。

3. 柔軟性確保条件

 これは、変革を進めながら将来像の設計図をどんどん修正していくことである。今日のようにものごとの変化が加速している中で変革を進める場合、変革前の段階で将来像を特定することが難しくなっているという事情を反映し、近年、この柔軟性が注目されている。2、3年先の将来像を描いても、それを実現する前に、将来像を変えざるを得なくなる場合が少なくない。このアプローチでは、変革をすすめる過程に、将来像を随時見直して柔軟に修正するという条件を織り込むことになる。

 これら3つの付帯条件を満たす鍵は、行動のガイドとなる設計図である。そのような設計図の具体的な中身については、次回以降、設計図のガイド力を生かす人材論と絡めて述べていきたい。