変革の方法

 ここまで、「変革の方向性」として、組織のどの部分を日本式から世界標準に塗り替えるかといった話をしてきた。これは「経営方式」を塗り替えるという話である。経営方式とは、経営理念・戦略・組織構造・人事制度など企業を経営するための基本的な要素・仕組の内容とその活用方法を指す。

 では経営方式を切り替えればそれで組織を変革したことになるのか。組織の変革とはつまるところ、その組織で働く人々の行動を変えて、より高い成果を生み出すことであり、経営方式の切り替えがそのような行動の変化につながるかが問われる。

 本連載で考えている経営方式の切り替えは、日系的な経営方式(緑)と外資系的経営方式(青)の間での切り替えが中心であるが、はたして経営方式の違いが、行動の違いにつながっているだろうか。

 とりあえず個人的経験に基づけばその答えはイエスである。筆者は、コンサルティングを通じていわゆる外資系企業と日本企業の双方を数多くみてきており、合わせて、個人の所属先としても緑と青の双方を経験してきていている。それらを通じて、同じ日本人でも、緑の組織に長くいれば緑の思考・行動に染まり、青の組織に長くいれば青の思考・行動に染まることを目の当たりにしてきている。筆者に限らず広く世の中にもこのような認識があるからこそ、緑の日系企業が青色化を進めるにあたり、外資系で活躍して「青」に染まった日本人をトップにむかえたりしているわけだろう。

 ただ、変革について経験レベルの話で終わらせずに、既存の理論を踏まえつつモデル化し検証して普遍化することと、切り替えの方法論を確立することが大切である。ここでは、その端緒として、経営方式を変えることで人の行動を変えるモデルを紹介する。

 それは、経営方式の切り替えによって、人々の行動の現在の姿(現在像)を、あるべき将来の姿(将来像)に変えていくモデルである。その際のポイントは、経営方式がいわば人々の行動のガイドとして機能するように、経営方式の内容を敷衍して設計図として表現し伝えることである。その意味での設計図とは、経営方式とほぼ同じ内容だが、期待される行動を導くように、WHY(ミッション・ビジョン・理念等)、WHAT(戦略・組織構造・制度等)、HOW(個別スキル・連携等)を明確に定義し、個々人の頭の中にすっと入るようにしたものをいう。

 その上で、行動をガイドする「設計図」を別の「設計図」に切り替えることで、人々の行動を切り替えるという寸法である。例えば、緑の組織にふさわしい行動に向けて従業員たちをガイドしている緑の設計図を、青の設計図に切り替えることで、同じ従業員たちを青の組織にふさわしい行動に方向転換させるのである。

 では、経営方式・設計図を切り替えるとはどのようなことだろうか。