次に、DPRを例に挙げよう。昨今の厳しい建設業界にあって高業績を上げている、グローバル規模の建設会社である。DPRは従来型の入札で熾烈な競争を繰り広げるのではなく、ビルディング・インフォメーション・モデリング(BIM)と呼ばれる新たな手法に投資した。これは、設計図を超越し、事前にデジタルの3Dモデルで建物を「組み立てる」ものである。これにより品質の向上と総工費の削減が可能となる。

 BIMは複雑で費用がかかり、いまだ発展途上の技術である。だが、DPRはこれまでに得た知識と実践法を、業界のフォーラムからスタンフォード大学のコースに至るまで、幅広い場で共有している。これらの多様なコンテンツ・マーケティングは、業界でDPRの話題を広めるにとどまらず、顧客が認識するBIMの価値をも向上させた。DPRの幹部たちは、この新たなアプローチを中心に業界全体を発展させるため、競合他社の学習を手助けすることもいとわなかった。彼らはコンテンツ・マーケティングを、まさに思想的リーダーシップの手段としている。

 B2C企業の例としては、ホーム・デポがある。同社の幹部たちは、顧客が自分の家屋の修繕作業をできるだけ自分でやりたがっていることを理解していた。長年にわたり多数のハウツー本を発行し、いまではウェブサイトに何百もの動画を蓄積している。実店舗では、無料または低価格のDIY入門講座を開いている。家屋の修繕に関する過去にない問題が発生したり、新しい道具や資材が登場すると、ホーム・デポはこれらのコンテンツをただちに拡張・更新し、新たなチャネルに反映する。顧客がより優れた日曜大工となるのを手助けする過程で、みずからのブランドを広告よりもはるかに効果的に強化している。

 優れたコンテンツを自社で作成する代わりに、外部からコンテンツを獲得する方法もある。だがそれは、やがてライバルとの激しい競争の泥沼にはまることになる。スマートで見栄えがよく、娯楽性もあるコンテンツを得るために大金を投じたとしても、それらはブランドの本物らしさを示すものではなく、結局は事業にとっての実質的な価値はほとんどない。

 コンテンツ・マーケティングにおいて持続的な成功を実現する唯一の道は、騒々しくてプレッシャーと機会に満ちあふれたこの世界を進んでいく顧客を、助け導くことだ。巧みに実行して実践的な知見とソリューションを得られれば、強力な素材を豊富に備えることになる。その時、コンテンツ・マーケティングは真に訴求力を持つだろう。


HBR.ORG原文:Produce Content Marketing That Customers Care About July 31, 2014

■こちらの記事もおすすめします
データ活用でマーケティングを変革していく Marketing Innovation[アドビ システムズ]

 

ピーター・シーハン(Peter Sheahan)
顧客行動を変えるプログラムを企業に提供するコンサルティング会社、ChangeLabsの創業者兼社長。アップル、IBM、リコー、ヒルトンなど多くのグローバル・ブランドを支援する。