背中を後押ししてくれる一冊に出合えた幸運

――『Positioning』という本に出合ったことが、高岡さんの実際のビジネスにさまざまな影響を与えているように見えます。

高岡 その通りだと思います。本にはビジネスのやり方がすべて書いてあるわけではありません。一方で、学者や知識人が考える精神的なものや、過去のことを分析した結果から導かれた一つの傾向を教えてくれます。自分を啓発してくれるものと言ったほうがいいかもしれません。大事なのは、本から啓発されたことをアクションに移すことです。本を読んで教えてもらうというスタンスでは、何も生まれません。

『Positioning』に書いてあったことが自分の頭の中でおぼろげに浮かんでいた考えとぴったり一致したものの、それを実際のアクションに移すにはどうすればいいかについては、必死に考えました。私は、物事の正解は本に書いてあるのではなく、すべては自分の頭で考えてやるしかないと思っています。本はあくまでも啓発してくれるもの、背中を押してくれるものです。ただ、行動を起こさせてくれるような本に出合えたのは幸運だったと思います。

 そもそも、どれほど素晴らしい学者が書いた本でも、書かれていることは仮説の一つです。外資系企業に長く身を置いていたことで、自然とそういう考え方が身についたと思います。日本で日本人のマネジメントをしていると、受験勉強に明け暮れてきた日本人が正解を求めたがっていることに嫌でも気づきます。講演をしても、最後に出てくるのは正解を求める質問ばかりです。

「あなたにとってマーケティングとは何ですか」「どうすればあなたのような成功を手に入れることができるのですか」

 こうした質問に正解などありません。どれほどノウハウ書を読み込んだところで、書かれている通りにはできません。また、書かれている通りにやっても、成功するとは限りません。10人いれば10通りの答えがあっていい。その答えにしても、正解ではなく仮説にすぎません。すべては行動してみなければわからないのです。

最終回の更新は9月19日(金)を予定。

 

【編集部からのお知らせ】

9月24日・25日の二日間、世界中からマーケティングの巨星が結集!

ワールド・マーケティング・サミット・ジャパン 2014

日程:2014年 9月24日(水)10:00~18:45(予定)
       9月25日(木)9:30~17:40(予定)
会場:グランドプリンスホテル新高輪「北辰」
登壇:フィリップ・コトラー、デビッド・アーカー、アル・ライズ、ドン・シュルツ、高岡浩三(ネスレ日本代表取締役社長兼CEO)、新浪剛史(サントリー顧問 10月1日サントリーホールディングス株式会社CEO就任予定)、吉田忠裕(YKK代表取締役会長)、魚谷雅彦(資生堂代表取締役執行役員社長)ほか。
申込:お申し込みはこちらから。
   ※DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー定期購読者は定価の25%オフ
詳細http://worldmarketingsummit.jp/