また露出を調整するという方法でも、市場テストをコンパクトにまとめられる。多数の消費者を対象にすれば、統計的有意性は得られる一方で細かいニュアンスを把握できないおそれがある。そしてより重要なことだが、少数の消費者を相手に新しいアイデアを検証すれば、より大胆になれるだろう。フェイスブックやエアビーアンドビー(Airbnb)といった企業は、どの社員にも、製品への大小さまざまな変更を限定的に一般公開できるようにしている。そしてリリースした機能が顧客の行動に与えるインパクトを測定し、望ましい結果が得られた変更はより多くの消費者向けに公開される。このアプローチはソフトウェア企業にはいっそう容易だ。ただし製造業でも、いまや3Dプリンティングのような製造イノベーションによって、限定した規模で実物をリリースしやすくなっている。

 上記のアプローチに従った後、それでもまだ実験が市場に歓迎されていない、あるいはプロトタイプがまだ提供価値を顧客に届けていないと感じるのであれば、その事実をありのままに示せばよい。関わっている顧客に、これが発売にこぎつけない可能性のあるプロトタイプであることを知らせるのだ。その方法の1つは、未完成の新たなアイデアを紹介する目的でサブブランドを立ち上げ、その目的を明確に示すことである。たとえばグーグル・ラボはグーグルの1部門として、革新的な新製品を生み出すことに注力している。この部門は〈グーグル・グラス〉を、マスマーケット製品としての準備が整う前に世間に公開した。我々の経験に照らせば、顧客は概して、自身が何に関与しているのかを心得ている場合、意見や情報を提供することに熱心となる。

 実験が顧客に与えかねない潜在的な不便を回避するには、顧客がプロトタイプに我慢できなくなった場合に元のサービスまたは製品に切り替えられるオプションを提供してもいいだろう。たとえばソフトウェアの開発では、製品への純粋な関心度を探るために、顧客が購入を検討してもよいというサービスについて製品アップデートの同意を求める方法もある。このアプローチを採用すれば、製品の訴求力について貴重な情報が得られる。さらに、同意した顧客のグループにアクセスできるようになるので、このコミュニティから製品の進展に応じてフィードバックが得られる。一方、顧客がアップデートを停止した場合は、なぜそうしたのかを理解する機会ととらえて、アンケート調査や直接の聞き取りをするといいだろう。

 プロトタイプを市場でテストするのは怖いと感じるかもしれないが、そのリスクは欠陥のある製品やサービスを発売するよりもはるかに低い。リスクを抑えるため、そして実験に支障が出るような省略を避けるために、上記のポイントをふまえることをお勧めする。市場は急速に変化しており、今後はより多くの競合他社が、市場における自社のポジションを改善するために実験に取り組むだろう。旧態依然としたやり方のままで取り残されるよりも、「テスト・アンド・ビルド」を実践するほうが得策だ。


HBR.ORG原文:Prototype Your Product, Protect Your Brand April 15, 2014

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デイビッド・エイキャン(David Aycan)
モバイル決済会社スクエアのプロダクト・マーケティング・リーダー。ハードウェアの製品開発と販促を指導する。以前はIDEOでデザイン・ディレクターとビジネス・デザイン・ディシプリン・リーダーを務め、大企業や新興企業と協働して、新しい製品・サービス、ビジネスモデル、ベンチャーの設計に携わった。

パオロ・ロレンツォーニ(Paolo Lorenzoni)
食品業界にビッグデータを提供するフード・ジーニアスの製品開発担当バイス・プレジデント。以前はIDEOでビジネス・デザイナーとプロジェクト・リーダーを務め、分野横断的なデザイナーのチームを率い、食品、テクノロジー、小売りなどさまざまな業界における新しい製品・サービスやベンチャーの創出に携わった。