3要素と諸機能の対応

 さて、このように機能別に組織を分解してとらえた上で、機能別に3要素の一つの要素を選択して対応させる。この対応は次のように2段階で行う。

 第1段階は、いわばグローバル化する日本企業が典型的な対応を想定した既製服的なフィッティングである。具体的には、まず本社機能は、先行するグローバル企業の間でほぼ世界標準的なものが成立しているので、将来像では他の機能に先んじて世界標準化すべき機能であり青色となる。

 次いでグローバル企業における事業機能について見ると、その中の営業領域は世界標準から最も遠く、ローカル化が最も必要とされる領域であり赤色となる。事業機能のうち営業を除く部分に、その企業が持つグローバルに通用する強みが存在する可能性があり、その部分は緑色となる。特に、日本企業の場合には、この強味の機能が、広い意味での開発・製造機能となる可能性が高い。図1のイメージだ。

 なお、事業機能で、強味以外の部分(基礎研究やサプライチェーンやマーケティングなど)は青か緑・青のまだらになる。経営機能については後述するが、その企業における本社機能と事業機能の塗り分けにマッチした色調となる。
 

 

 第2段階は、その企業の強味機能の神通力に注目したカスタマイズである。カスタマイズは、強味たる緑の機能が世界に通用する度合いと、緑の強味機能とその他各機能の間の距離感に応じて次のように行う(*1)

i) 仮にその企業の強味が「開発・製造」機能だとして、その強味の神通力が非常に高い場合は、緑色化できる範囲が広がり、隣接機能はもとより、最終的にはすべての事業機能を緑色化する可能性も出てくるだろう。そうなると本社機能や経営機能も、あるべき姿においても緑色を維持するような力学が働くだろうが、世界で戦うには世界的視野で強味の神通力の程度も含めて不断に情勢判断をすることが必要であることに照らすと、両機能については青色化を進めるべきであり、少なくとも緑と青のハイブリッドにすべきではないか(熟慮を要するポイントであり、より周到な議論は、今後本連載で、青と緑のよりシャープな定義をする折にでも行いたい)。この事例にある程度合致するのは自動車産業の一部の企業や、世界的な強味を持つデバイス・部品を開発・製造する企業等であるが、かなり限定的な事例であろう。

ii) 強味の神通力が中程度であれば、バリューチェーン上で、製造・開発に近い機能は、製造・開発の強味とのバンドリングによる相乗効果が期待できて、いわば派生的に強味に昇格し、その部分全体が緑色となる可能性が出てくる。例えば、基礎研究やサプライチェーンやマーケティングなどが派生的な強味となる可能性が出てくる。ただし、核となる強味が中程度という曖昧な状況を反映して、派生的な強味の色合いは緑を基調としつつも青も混ざるまだら模様になるだろう。経営機能は、それ以外の機能(すなわち事業機能と本社機能)が全体としては緑と青が混ざりまだら模様であることを反映して、緑と青が混ざるまだら模様になるであろう。

 強味の神通力が中程度という言い方には、神通力の度合いがまだよく分かっていない状態も含まれる。少なからぬ日本企業の強味の神通力は、まさに中程度か不明確という状況にあると思われる。そういう場合、世界的視野で強味がどこまで通用するかの見通しをつけること自体が重要であり、そのような判断力(インテリジェンス)を高めるには、世界的な視野でものごとをとらえるべく本社機能と経営機能の青色化を先んじて進めることも一考に価しよう。

*1 強味とは、リソースあるいはリソースを動員するケイパビリティの中で、高い価値と希少性と代替・模倣の困難性を有するものであり、競争上の優位性を生み出す源である。ここでは強味となるリソース・ケイパビリティを「機能」の視点でとらえる。強味が持つグローバルな神通力の程度とは、強味がそのような競争上の優位性を、国内のみでなくて世界で持ちえる程度を指す。