3要素の最適な組み合わせ

 この組み合わせを考える際に、まだら模様を論じる本連載の作法に従って、3要素にも色を与えておきたい。

 第1要素の世界標準は、初回に「青」で象徴した、多様な人々を動かす「形式知化された仕組みによる経営」と内容的に重なっているので「青」とする。

 第2要素はローカル性を象徴する色として「赤」をあてる。色彩学によれば赤は青緑の補色であり、日本企業が緑や青の経営方式を使いながら赤に進出していくというイメージに合うと考えるからである。赤を選択した理由ではないが、民族の血(赤い血)という連想も働くかもしれない。ローカルを表わす赤には、国・地域・民族・文化毎にさまざまなシェードがある。この意味でのローカル性は、新興国・途上国のみならず、米国や欧州各国にもあり、どの国においても、その国ほどユニークな国はないと思ってしまうようなユニークな事情・特徴を持っている。

 第3要素の独自の強味は、日本企業の場合でいえば、初回に「緑」で象徴した長期的に雇用される人々の間で成立する「人的なハイコンテキスト経営」と密接に関連することが多いと思われるので、その連想から「緑」を付与する。

 さて、3要素の最適な組み合わせを考える際のポイントは、「バリューチェーンを構成する機能」に即して組織構造を切り分け、機能別に、「世界標準化」、「ローカル化」、「強味を活用」の3点に振り分けることである。

 バリューチェーンを構成する機能の視点で組織を切り分けるのは、機能別で見た組織単位、すなわち「専門性」が、組織構造における最もファンダメンタルな要素だからである。ご存知のように組織構造には機能別組織の他に、事業別組織や地域別組織やマトリックス組織等があるが、いずれの組織構造も、結局、価値を生み出す機能別専門性から構成されている。言い換えれば、機能別の諸専門性を、事業別や地域別に編集・統合しているわけだ。その意味で、専門性が基本となる。そこで、あるべき将来像を描く際は、その基本単位まで分解した上で、3要素と対応させていくこととする。

 では、その「バリューチェーンを構成する機能」とは何か。バリューチェーンは、通常、開発機能、製造機能、物流機能(サプライチェーン)、マーケティング機能、販売機能等の事業機能によって狭義で考えられているが、ここでは事業機能より広範に、本社機能と経営機能を加えたものとしてとらえる。本社機能は、財務、人事、IT、法務、広報などの専門機能から構成される。経営機能は、英語でいうとオフィサー(経営者)が担う機能、すなわちCEOをはじめとするCXOの機能である。

 なお、話を単純化するために、単一事業で(すなわち事業機能は一本で)、本社諸機能と経営諸機能はグローバル全社で統合されている(すなわち国別組織や地域別組織には本社機能や経営機能は持たせない)と想定する。