ライブ・プロトタイピングの主な短所としては、以下の3つが挙げられる。

●長期的なフィードバックを得るには適さない
 ライブ・プロトタイピングは通常、特定の文脈において提供価値への反響を見極める。このため、最初の製品(および販促物)の忠実度に多くを投資し、価値の顕在化に時間がかかる機能は重視しない。したがって、顧客のリテンションとエンゲージメントを長期的に評価する場合は、ライブ・プロトタイピングは適していない。我々は以前試したことがあるが、結果的にパイロットに近いものとなってしまい、ライブ・プロトタイピングのスピード面での利点が活かされなかった。

●幅広い選択肢は探究できない
 ライブ・プロトタイピングでは、特定のチャネルにおけるソリューションの構築に多大な努力を要する(例:テストを行う場所の手配、陳列用品の設置など)。このため、異なるコンセプトを幅広く試すのは難しい。たとえば食品ブランドの検証に際し、ライブ・プロトタイピングは多様な選択肢をテストでき、複数の異なる小売業者を通してでもそれは可能だ。しかし一部のコンセプトがまったく異なるチャネル(たとえば自動販売機)を必要とする場合は、検証プロセスを制御できなくなる。

●あらゆる地域文化に共通ではない
 アメリカの消費者は、企業と一緒にソリューションを共創したいという気持ちが強い。そして実験を好むブランドや「常にテスト段階」にあるブランドを称賛する傾向がある。ただし、この気質は世界各国の市場に当てはまるわけではない。ターゲットとする市場がどの程度「粗さ」を受け入れるのか、見極めることが重要だ。

 製品開発プロセスの一環としてライブ・プロトタイピングを規則的に導入すれば、市場の騒然とした環境と予測不可能性に伴うリスクを取り除く助けになる。たとえば、

・消費者がアンケート調査の回答とは異なる行動を取るために、足をすくわれる
・フォーカス・グループの中では目立った製品が、販売の現場では埋もれてしまう
・新たな提供価値は、消費者がせわしない買い物の最中に理解するには、いささか複雑すぎた

 というようなリスクが軽減される。

 結局のところ、より少ない投資でより多くのアイデアを市場で検証してから、最も有望なアイデアに絞ってパイロットを実施すれば、新しい製品や体験に関するROIを劇的に増やすことができるのだ。


HBR.ORG原文:The Future of Prototyping Is Now Live March 17, 2014

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デイビッド・エイキャン(David Aycan)
モバイル決済会社スクエアのプロダクト・マーケティング・リーダー。ハードウェアの製品開発と販促を指導する。以前はIDEOでデザイン・ディレクターとビジネス・デザイン・ディシプリン・リーダーを務め、大企業や新興企業と協働して、新しい製品・サービス、ビジネスモデル、ベンチャーの設計に携わった。

パオロ・ロレンツォーニ(Paolo Lorenzoni)
食品業界にビッグデータを提供するフード・ジーニアスの製品開発担当バイス・プレジデント。以前はIDEOでビジネス・デザイナーとプロジェクト・リーダーを務め、分野横断的なデザイナーのチームを率い、食品、テクノロジー、小売りなどさまざまな業界における新しい製品・サービスやベンチャーの創出に携わった。